ウィキペディアもアマゾンもGoogleも―集合知って何?―
最近、注目されている「集合知」
「ウィキペディア」は、インターネットを使っている人なら、おそらく知っているでしょう。この「ネット上で、みんなで、百科事典を作ろう!」という人類史上初の試みが始まったのが2001年、日本語版が実質的にスタートしたのが2002年です。10年以上経った現在、ウィキペディアは「集合知」の大きな成功例となっています。
「集合知」とは、たくさんの人たちの知恵を集めて、よりよい知恵を生みだすことです。
アマゾンも「集合知」
アマゾンも「集合知」のひとつだと言えます。アマゾンで本を買うと、「この本を買った人は、こんな本も買っています」とオススメ商品が紹介されます。これは、アマゾンで買い物をしたお客さんたちの情報を統計的に分析した結果です。たくさんの人から情報を集めて新たな情報を生みだしているという点で「集合知」なのです。
余談ですが、あるスーパーマーケットの調査で、「紙おむつを買う人は、(なぜか)ビールもよく買う」という統計結果が得られたことがあります。紙おむつとビールを並べて陳列すれば、売り上げを伸ばせるかもしれません。あえて離して陳列して、途中にあるものも買ってもらうということも考えられます。このように、昔から、統計はビジネスに使われてきましたが、現代のネットのデータは膨大ですから、上手にまとめれば、より大きな価値が得られるのです。
Googleも「集合知」
検索サイトのGoogleも「集合知」を上手に使って成功しています。Googleは、「よいページからリンクされているのは、よいページである」という評価基準でページをランク付けするアルゴリズム(コンピュータ上の計算方法)を使っています。具体的な計算には、ネット上の膨大なページから集めた情報を利用します。膨大なページを作った人たちの知恵を集めて、「よいページ」という誰も知らなかった知恵を生みだしているのです。
「集合知」を上手に使うことは、今後、学問でもビジネスでもますます重要になっていくでしょう。
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千葉工業大学 情報変革科学部 高度応用情報科学科 准教授 矢吹 太朗 先生
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