硬質な素材を加工する技術を生み、ものづくりに活用する

硬質な素材を加工する技術を生み、ものづくりに活用する

微小な世界を支える技術の開発

スマートフォンをはじめ、現在使われている機器の多くは「マイクロ(1mmの1/1000)」「ナノ(1mmの1/100万)」といったごく小さな単位で扱われる部品によって構成されています。それらの加工は「精密加工」と呼ばれ、さまざまな方向から多数の研究が行われています。例えば微細な部品を作るにはカッターなどの工具が必要なため、それらの精密度を向上させて「もっと上手な」ものづくりにつなげていくのも研究の一つです。

人造ダイヤモンドの精密加工法の確立

ものづくりの現場において、硬いものを切る、削るなどの作業では、非常に硬い人造ダイヤモンドが頻繁に利用されます。実際に製造に使う場合、その硬い人造ダイヤモンドを用途に合わせて加工する必要があります。前述のような研究では、人造ダイヤモンドを削る加工に鉄板を利用する技術が生まれました。この技術を使うと、1mm四方のダイヤモンドの塊が1分程度で削られて、元の形がなくなってしまうほどのスピードで加工ができるのです。
また、本来電気を通さないダイヤモンドですが、人工的に生成する際に不純物を入れると電気を通すようになります。すると電気を活用した雷のような放電現象を人工的に起こせるようになり、それを使ってダイヤモンド自体を加工する技術も開発されました。

これからのものづくりの進化のために

これらの技術を使うと、断面が非常に平らなカットが実現できます。ただ、特殊な顕微鏡で拡大観察すると、そこにはまだ凹凸が残っていることがわかります。これをなくしてさらに滑らかな面を作る、つまりより鋭利なカッターなどの製造を可能にする研究が進められていくことで、「精密な」部品作りに役立つと考えられています。
今後、家電製品だけでなく、自動車やロボットの部品などもさらに小さくなっていくと予想されています。このような研究によって新しい技術と仕組みがどんどん生み出され、製造上の「困った」を解消してくれると期待されているのです。

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先生情報 / 大学情報

富山県立大学 情報工学部 知能ロボット工学科 教授 岩井 学 先生

富山県立大学 情報工学部 知能ロボット工学科 教授 岩井 学 先生

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先端材料加工学、精密加工学

先生が目指すSDGs

メッセージ

「面白そう」と思ったモノ、コトに向き合ってやってみることが何より大切です。やってみてもし失敗しても、それは次につながる立派な行程の一つと言え、新たな知見を得ることにも結びつくでしょう。最近はタイパ、コスパを気にする人も多いですが、研究活動においては割に合うことがすべてではありません。研究とは試行錯誤の連続で、100のうち1の成功があれば、そこを広げて次につなげていくものです。失敗を受け止めて学びを得れば、今よりももっと柔軟な思考ができるようになるはずです。

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