アフリカでの手話コミュニケーション
アフリカの手話事情
世界には、200以上の手話があります。アフリカのケニアで使われているケニア手話もその1つです。ケニアは、日本に比べて耳の不自由な人の割合がかなり高い国です。マラリアや風疹、中耳炎などが原因で、聴覚を失うことが多いからです。音声でも手話でも、言語というのは、その地域の歴史や文化を反映しています。アフリカでは、植民地時代に耳の不自由な人が教育を受けられませんでした。また、世界全体として耳の聞こえない子どもたちにはまず口話を教えようという動きがありました。ですから、アフリカのろう学校で手話が使われるようになったのは、ごく最近のことです。
手話の構造とは?
よく誤解されるのは、手話とは単に日本語や英語などの音声言語の文を手や指で表しているものではないか、ということですが、例えば、同じ英語を使用するイギリスとアメリカの手話はまったく異なる構造を持っている例からもわかるように、手話は音声言語と同様に複雑な文法構造を持つ自然言語です。ポイントとなるのは、音声を利用しないで手の形、動き、位置、さらに頭部の動きや表情を使うことです。
世界共通の手話は存在する?
実際に、国際手話という人工的な共通手話はあります。世界ろう連盟(World Federation of the Deaf)の国際大会などで使われているのですが、手話というのは、もともと自然発生的に生まれたものなので、人工的な手話というのはなかなか定着せず、あまり普及はしていません。ただ、音声言語と比べて、動きそのものが意味と直結するので、異なる手話でもわかりやすい部分もあります。例えば、「食べる」というのは、たいていどこの手話でも手を口に持っていく動作をするので、通じることが多くなります。一方、日本の手話では「男」は親指を立てて示しますが、ケニア手話では親指を立てるのは「OK」という意味で、理解するのが難しいものもあります。世界の手話によるコミュニケーションの研究は、今後ますます重要になってくるでしょう。
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