持続可能な資源供給を考える長期的モデルとは
資源に着目して持続可能な社会を考える
「資源経済学」は、資源工学の知識をもとに、経済学の手法を使って、資源の現状を分析したり、長期的な見通しを立てるためモデル化を行う学問です。資源は有限なものですから、掘り続ければやがてなくなってしまいます。持続可能な供給について考えることは、地球温暖化や環境破壊を考えるのと同様に切実な問題です。
資源は需要が増えてもすぐに増産できない
最近は、政治的な意味もあって、レアメタルが注目されていますが、私たちが身近に使っている銅や鉄など、ベースメタルと呼ばれる金属資源が枯渇したら、いったいどうなるのでしょう。その影響ははかり知れません。現状では新興国の経済成長などから、資源の需要は増加の一途です。鉱山開発には膨大な時間とお金が必要なので、足りないからといって、すぐに増産できるものではありません。
銅は、2080年を頂点に生産量が減少することが予想されます。そう遠い未来のことではありません。こうした予想の根拠となる客観的なデータを提供するのが、資源経済学の仕事です。リサイクルなど、不足を補う方策を考えて早急に着手しなければならないことが、このモデル化によってはっきり見えてきます。
鉱山に足を運び、現場を見て生きた情報を収集
最も銅の生産量が多い国は南米のチリです。「品位」は、鉱石に含まれる金属の含有量を示す言葉ですが、採掘されている鉱石の品位は年々低下し、現在は1%から0.5%が中心で、それより高品位の鉱山はもうなくなっているのです。
このように、実際に鉱山に足を運び、現状を見て、さまざまな問題点からモデル化に必要なデータを収集するところが、机上の経済学とは異なるところかもしれません。
資源に関して、供給、消費、リサイクル、廃棄までのライフサイクルを通して、そこに起こってくる社会、経済、環境などに関わるさまざまな課題に取り組みます。理系文系の枠を超え柔軟なアプローチが必要になる、先進の分野と言えるでしょう。
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