海底の堆積物は地球の歴史を探るタイムカプセル
「古海洋学」って何?
地球が誕生してからの46億年間、環境は大きく変化してきましたが、それをひもとく学問のひとつが、「古海洋学」です。深海底の堆積物を採取して過去の海洋環境を解析する古海洋学によって、地球の環境がどのように変化してきたのかがわかるのです。
例えば、現在、北米と南米はパナマ地峡でつながっていますが、これは、いつつながったのでしょう? その答えを得るためには、パナマ地峡をはさんだ大西洋と太平洋の海底の堆積物や化石の類似性が、いつからなくなったのかを調べればわかります。また、北極に氷が拡大した時期を調べるためには、北極海の堆積物を採り、氷山によって運ばれた石が、いつから溜まり始めたのかを解析します。これらの結果を比較すると、実は南米と北米がつながったのも北極に氷が拡大したのも、275万年ほど前だということが明らかになり、パナマの陸化が暖流を遮断、地球を寒くしたことによって北極に氷が急速に拡大したことがわかりました。
たった1cmで、数百年の地球情報がわかる!
環境変化の激しい陸地と違って、海底の堆積物は乱されることなくそのまま積もっています。ですから、色や物性の変化、微化石や有機物の組成変化などを調べることで、時代ごとの水温や栄養状態、どんな生物がいたのか、環境の変化などを復元することができます。約1cmの堆積物には、数100年分の情報が詰まっています。海底の堆積物は地球が残したタイムカプセルのようなものです。
石油はどんな場所に産出されるの?
海では、海流が陸にぶつかると、そこで海水がかき回されて、海底の栄養豊富な水が上昇し、そこにプランクトンが発生して、石油の元となる有機物が生成されます。ですから、地球が生まれてからの陸の配置や海流の動き方を調べることで、どこに栄養豊富な海域があったのか、つまり、どこに石油があるのかがわかるというわけです。
このように、古海洋学を学ぶことで、地球という大きな枠組みから地球の歴史を解明し、地球資源についても重要な情報を得ることができるのです。
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