子どもの主体性を尊重した保育のすすめ
子どもは日常から多くを学んでいる
幼児は毎日見たり聞いたりする、お父さんやお母さんの行動や会話から、少しずつ言葉を覚えていくように、「1」とはどんな数の大きさなのか、「1」と「2」ではどちらが大きいのか、といった数についての概念も、身の回りの出来事から学び取っています。幼稚園や保育園では友だちとの遊びを通して、「数えたり」「分けたり」「比べたり」することを身につけていきます。
大人の概念に当てはめないことが大切
3個の積木と2枚のお皿を渡して、「積木を分けてみよう」と子どもに問いかけます。お皿の上に2個と1個を乗せて分ける子どももいれば、1個ずつお皿に乗せてから「1個余った」という子どももいます。中には、お皿の上にそれぞれ1個、残った1個はお皿とお皿の間に置いて得意そうにこちらの様子を伺う子どももいます。大人の予想を超えた大胆な発想に驚かされますが、ちゃんと積木を分けているのでどれも間違いではありません。結果が予想と異なるからといって、それを指摘することは、単に大人の概念を当てはめようとしているだけのことです。子どもの自由な発想を保育者が理解し認めることが、幼児期の教育にはとても重要なのです。
幼児期にふさわしい「学び」とは?
多様な世界観を持つ幼児期の子どもは、興味を持つ対象も異なります。物を並べたり、数を数えたりすることが好きな子どももいれば、「5」という数字にこだわる子どももいます。実に多様な方法で自分を表現します。幼児期からの塾通いなど、早期教育熱は高まる一方ですが、毎日の生活や遊びの中にこそ、幼児期にふさわしい「学び」があると考えます。一つだけの答えを求めさせる教育も大事かもしれませんが、その勉強は小学生になれば否応なしにしなければなりません。柔軟で個性的な発想がどんどん出てくる幼児期は、遊びながら学ぶことのできる貴重な時間です。子どもの主体性や自由な発想を尊重する保育環境が今後さらに求められていくでしょう。
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