開発から廃棄まで考えた製品設計~ライフサイクルデザインとは?~
環境にも人にもやさしい機械をつくる
機械を設計する際、性能のよさと同時に、環境への負荷を少なくすることが求められています。例えば省エネで作動できること、長期間の使用が可能でリサイクルも容易な材料を選ぶことなど、製品の開発から廃棄までのライフサイクルにおいて、省エネかつ循環型でいかに環境にやさしいかを考慮する「ライフサイクルデザイン」が、一般的になりつつあります。環境にやさしい、つまり、人にとってもやさしい製品をつくるには、設計の段階から取り組む必要があり、このような設計手法を「環境適合設計」といいます。
環境効率も考える
環境負荷を抑制しつつ、どれだけ商品価値を向上させたかを示す指標となるのが「環境効率」です。例えばスマートフォンにはたくさんの機能があり、ユーザーはメモリ容量やICチップの性能のよさなどを判断基準に、商品を選択しています。性能が高いことはユーザーにとって魅力的ですが、複雑な機能を可能にする半導体を作るためには大量の水やエネルギーが必要です。つまり、高性能なものほど環境に悪影響を及ぼしているのです。そこで、高い製品価値を持ち、なおかつ環境負荷の低い製品を生み出すために、ユーザーが本当に求めている機能を見極めることによる環境効率の向上が不可欠です。
ものづくりやサービスの対象は誰?
あなたが自動販売機を設計・製造する会社に就職したとします。どんなことを考えて設計しますか? おそらくは、飲み物を取り出しやすくするなど、商品を購入する人のことを考えるでしょう。しかし消費者にたどり着くまでには、自動販売機を設置し飲料を補充するオペレーターや、場所を提供する小売店などの存在があり、立場的には、直接の顧客であるオペレーターの作業の効率化を一番に考えることが、あなたに求められる最重要課題、ということになります。誰にとっての価値を考えるのか、という価値工学の側面も、ものづくりやサービスの設計には大切なのです。
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先生情報 / 大学情報
秋田大学 総合環境理工学部 社会システム工学科 教授 三島 望 先生
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