これからのエネルギー燃料

これからのエネルギー燃料

エネルギー危機がやってくる!?

このまま石油を使い続けると、原油は枯渇してしまいます。まずは、10年以内をめどに、原油に似た物質を代わりに使えるようにすることが必要です。そのひとつとして、炭化水素を含む砂であるオイルサンドというものが注目されています。カナダやベネズエラに多く埋蔵しているものです。利用できる可能性がかなり高いので、日本でも国のプロジェクトとして、ガソリンやディーゼル燃料に変換するための方法が開発されていますが、優れた触媒が必要です。次に30年くらいのうちには、CO₂を出ずにエネルギーを得る方法をいくつか確立させ、地球温暖化を防ぐ必要があります。

昔ながらの生活には戻れない

石油が使えなくなったら、昔のように魚を獲り、畑を耕すように素朴な生活に戻ればいい、と思う人もいるかもしれません。でも、石油がなくなってしまったら、漁船を動かす燃料も高くなり、漁にも出られません。できた農産物を輸送する手段も失われてしまいます。石油でなくてもよいのですが、船や農機具などを動かすエネルギーが必要なのです。

植物から作るエネルギー

植物油を原料とする“バイオディーゼル”という燃料があります。植物油はヒマワリ、油やし、ナンヨウアブラギリなどが光合成によって蓄えたエネルギー源です。この燃料には、物資の輸送、農漁業や建設のための車、船、機械の現行のディーゼルエンジンでそのまま利用できるメリットがあります。原料となる植物を環境に負荷をかけることなく大量に育てられれば、CO₂を出さないエネルギー源として現実性も高く、期待されています。
ただ、植物油を燃料に変換する際に触媒が必要で、従来は液体の触媒を原料に混ぜて変換するので危険な廃液が出てしまいます。このため、優れた固体触媒を開発し、これをパイプに詰め、入口から原料を通して出口から燃料を得る方法が研究されています。

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先生情報 / 大学情報

鳥取大学 工学部 化学バイオ系学科 教授 片田 直伸 先生

鳥取大学 工学部 化学バイオ系学科 教授 片田 直伸 先生

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メッセージ

私は、プラスチックや医薬品、燃料などを効率的に(資源を無駄にせず、環境を汚さず)作る固体触媒の研究をしています。例えばゼオライトという触媒では、原子数個の並び方を変えるだけで、原油からガソリンを製造する能力が現れます。いわば、触媒はウルトラナノテクノロジーによってエネルギー、環境問題を解決し、社会を支える縁の下の力もち。このような原理を明らかにし、効率よく次世代の触媒を設計するため、縁の下の、そのまた下の力もちのような研究を行っています。

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鳥取大学は、教育研究の理念に「知と実践の融合」を掲げ、高等教育の中核としての大学の役割である、人格形成、能力開発、知識の伝授、知的生産活動、文明・文化の継承と発展等に関する学問を教育・研究し、知識のみに偏重することなく、実践できる能力をつけるように努力しています。また、研究・教育拠点、幅広い専門的職業人の養成、地域の生涯学習機会の拠点、社会貢献機能など個性輝く大学を目ざし、地方大学にこそ求められるオンリーワンの研究開発を行い、社会に貢献し、国際的競争力を確保できる大学運営を目指しています。