ものさし一本でわかる地球温暖化

ものさし一本でわかる地球温暖化

気温に関係するハイマツの成長

標高2,236m、山形と秋田の県境にあり、日本百名山にも数えられる鳥海山。この山に生えている「ハイマツ」という木があります。マツ科に属していますが、高さは1~2m。その名の通り地を這うような形をしており、高地でしか見ることはできません。実は、このハイマツの枝の長さと気温には、関係があるのです。
ハイマツの枝は、一年間成長すると一旦節のように硬くなり、そこからまた新しく枝を伸ばしていくのですが、その成長は、気温と関係していることがわかっています。気温が低い年は成長が悪く、高ければより成長します。ですから、一年間にどの程度成長したかをものさしで計ってデータをとると、気温の変化やそれによって植物の成長がどう変化していくのかがわかるのです。

アラスカの火事と地球温暖化の関係を調査

ここ最近、アラスカなどのツンドラ気候の地域で、雷などによる自然発火の火事が増えており、その被害面積も大きくなってきている、という報告があります。そこで、この火事が地球温暖化にどう影響を与えるのかを調べる日米共同の調査研究プロジェクトが行われています。火事によって地面に生えている草木がなくなってしまうと、地表にあらわになった凍土が太陽の熱によって溶けてしまい、地中からメタンガスが出てくるという現象が起こります。このメタンガスが地球温暖化にどう関係してくるのか、また焼けた後の植生がどう変化するのか、どう回復していくのかを調査するのです。これも、基本的には草木の数を数えたり、ものさしで草木の長さを測るという作業でデータをとることから始まります。そして膨大なデータから、現在何が起きているかについてを読み取るのです。植物について調査する場合、まずはフィールドに出て、目で見て、触れて、データをとります。そこからさまざまなことがわかってきます。

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秋田大学 教育文化学部 地域文化学科 地域社会コース 准教授 成田 憲二 先生

秋田大学 教育文化学部 地域文化学科 地域社会コース 准教授 成田 憲二 先生

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メッセージ

私は海外に行きたくて、どうしたら行けるだろうと考えた末、もともと森や生物が好きだったこともあり、今の仕事に就きました。実際、中国やフィンランド、アラスカやアフリカなど、毎年世界各国に出かけています。でも、世界中に800万種はあるだろうといわれる植物については、まだわからないことばかり。まずはフィールドに出て、見たり触れたり調べたりすることから始まります。知らないことを知り、新しい物や人と出会うのは楽しいことです。あなたも、好奇心を大切に、まずは未知の世界へ出かけてみましょう。

秋田大学に関心を持ったあなたは

地球を舞台に活躍する資源スペシャリストを養成する「国際資源学部」、教育分野や地域社会における現場実践力を養う「教育文化学部」、地域医療の核となり人々の健康と福祉に貢献する「医学部」、独創的な発想と技術力を育む「理工学部」の四学部が連携し、地域に根ざし世界に発信する教育・研究拠点をめざしています。
四季の彩り豊かなキャンパスでは、日本全国そして世界各国から集った学生がそれぞれの目標に向かい、勉学や課外活動に打ち込んでいます。