おいしいスイカの見分け方と同じ!? 人工地震で地球の内部を探る!
地球の表層は、ゆっくり動いている
ドイツの地球物理学者ヴェーゲナーが大陸移動説を唱えたように、地球の表層はゆっくりと移動しています。地球の表層部分は、厚さおよそ100kmのプレート(岩板)十数枚に覆われていて、そのプレートは上部マントルにのって動いていると考えられています。プレートとプレートがぶつかり合った時、行き場をなくした力が隆起してできたものがヒマラヤなどの山脈です。
また、そのような運動によって断層もできますが、近畿・東海地方は今後活動する可能性のある活断層が密集する、世界にもまれな地域だと言われています。
地震波で地球の内部を探る、反射法地震探査
地球の内部がどうなっているかを知る手がかりとなるのが「反射法地震探査」です。反射法は、人工地震を起こし、地球内部で反射させた揺れ(地震波)の伝わり方を、数メートルおきに設置した地震計で観測する方法です。簡単に言えば、まるごとのスイカを手でたたくと、その音で中身の熟れ具合がわかるのと原理は同じです。もともとは石油の埋蔵場所を調べる資源探査ために考案されましたが、現在では学術研究にも利用されるようになりました。深さ1~2km、およそ100~200万年前にできた地下構造を調べる場合、一番正確にわかる探査法とされています。
内部構造がわかれば、動き方も推測できる
地球の半径は約6400kmあるのに、現在、私たちが掘ることができるのは、表層からわずか10kmほどでしかありません。でも、地震波を活用して内部構造を調べれば、「濃尾平野がどうやってできたか」「プレートとプレートの境界がいつ頃動き始めたか」「どちらの方向から活発に動いてきたか」などを推測することができます。
実際に、琵琶湖も三重県伊賀上野あたりから、数百万年かけて北へ移動してきたことがわかってきました。このように固体地球物理学では、地球の活動そのものを研究する学問分野なのです。
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