地震学を学べば、きみも南極観測隊員になれるかも!?
貴重なデータを収集する南極観測隊
映画やTVドラマでもおなじみの南極地域観測隊は、オーロラ・大気・生物・地質などのさまざまな分野の観測を目的に、1956年からほぼ毎年、極寒の地に隊員が派遣されています。旅程をふくめた派遣される期間は、越冬隊は約1年4カ月、越冬しない夏隊は約4カ月で、南極でしかできない調査や研究、データを収集する貴重な機会です。その中で地球の内部構造についての探査研究も進んでいます。
人工地震の伝わり方で、地球内部を調べる!
地球は、外側から「地殻」「マントル」「核」で構成されています。掘ることも見ることも不可能な地球内部を調べるには、人工的に地震をおこし、その振動の伝わり方を計測します。構成される物質によって振動の伝わる速さが違うので、地震計のデータを見れば、どの深さにどのような層があるのかが推測できるのです。
南極では、地下40~60kmにある地殻とマントルの境界を調べるために、150~200kmの距離に1km間隔で地震計を並べて計測しています。自然環境の厳しさ以外に、地震をおこすための低温用のダイナマイトを用意したり、雪上車で行けない場所にヘリコプターで地震計を投下する訓練をしたり、さまざまな苦労があります。
なぜ、南極で調査するの?
では、なぜ南極で地下構造を調査しているのでしょうか。それは南極がすべての大陸から隔離された、ここ2億年間安定している大陸だからです。地球上の大陸は、長い年月をかけて一度くっついた後にまた離れてきたと考えられていますが、南極を調べることで、以前はどのような姿をしていたかがわかるかもしれません。
また、さらに深い地球の中心部を調べようとする研究も行われています。その場合には、南極のほかにも地球規模で各地に地震計を置き、自然地震の揺れを観測していく必要があります。今後も南極大陸をふくめて探査を進めていけば、地球の内部構造についてより詳しくわかるようになるでしょう。
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