講義No.14795 経営学・商学

商品やサービスの価値は、消費者が決める時代?

商品やサービスの価値は、消費者が決める時代?

テーマパークのさまざまな楽しみ方

テーマパークにおけるマーケティングを考える際には、「いかに面白いアトラクションを用意するか」という面に焦点が当たりがちですが、来場者に「いかに楽しんでもらうか」「いかにポジティブな感情を抱いてもらうか」という観点で考えると、設備の充実だけが手段ではないことがわかります。
例えば、「テーマパークのキャストに話しかけてもらう」「誕生日をお祝いしてもらう」という体験は、来場者にとっての幸せにつながります。また、テーマパークの近所に住んでいる人たちは、アトラクションが目的ではなく、毎日の散歩コースとして利用する場合があります。そんな人たちにとっては、「テーマパークを頻繁に利用するために、入場料が低価格であること」がとても大きな重要性を持ちます。

売るためでなく、幸せを感じてもらうために

企業が商品やサービスを売るために行っていた「マーケティング」の研究は、2000年代以降において、その意味合いを変えつつあります。
従来のマーケティングでは「企業が商品の価値を決める」というのが当たり前の考え方だったのに対して、現在は「消費者個人が商品の価値を決める」という考え方が広がってきています。企業が決める価値を「交換価値(価格)」、消費者が決める価値を「文脈価値」と呼びます。例えば、個人のライブ配信に対して行われる「投げ銭」などは、文脈価値の典型と言えます。文脈価値に基づくマーケティングにおいては、ユーザー中心、ひいては人間中心の商品開発やサービス提供が求められます。

鍵はウェルビーイング

文脈価値の研究は、特にヨーロッパやオセアニアで進んでいます。福祉を大切にする国々では、個人が身体的・精神的・社会的に良好な状態を示す「ウェルビーイング」という概念が浸透しているからです。ウェルビーイングをいかに高めるか、という観点は、企業だけでなく、地方公共団体や学校、まちづくりなどにも適用できるでしょう。つまり、マーケティングは、人々の暮らしをより豊かにするものであると言えます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

熊本大学 共創学環(仮称) ※2026年4月開設予定(設置構想中)  教授 大藪 亮 先生

熊本大学共創学環(仮称) ※2026年4月開設予定(設置構想中) 教授大藪 亮 先生

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マーケティング論、消費者行動論

メッセージ

一般的に商品やサービスを開発・販売するための仕組みづくりと捉えられているマーケティングや経営学という学問ですが、経営の道を志す人だけでなく、すべての人が学ぶべきものだと私は考えています。なぜなら、私たちは、自分の人生を豊かにするためには、自分の人生を上手くマネジメントし、マーケティングする必要があるからです。さらに、それは他人の幸せをマーケティングすることにもつながります。「人々をいかに幸せにするか」という大きな目標へのヒントがたくさん詰まっている学問、それがマーケティングなのです。

熊本大学に関心を持ったあなたは

熊本大学は、「総合大学として、知の創造、継承、発展に努め、知的、道徳的、及び応用的能力を備えた人材を育成することにより、地域と国際社会に貢献する」という理念に基づき、地域のリーダーとしての役目を果たしています。かつ、世界に向け様々な情報を発信しながら、世界の学術研究拠点、グローバルなアカデミックハブとして、その存在感を高める努力をし、教育においては、累計30件にも及ぶ「特色ある教育プログラム」が優れた取り組みとして文部科学省から認定され、その教育力の高さと質の高い教育内容は定評のあるところです。