AIとのやりとりを通じて人間のふるまいを見つめ直す
会話が破綻した時のリアクションは?
AI技術の進展により、自動会話プログラム「チャットボット」との会話はより自然で人間らしくなりつつあります。一方、人間自体のふるまいはわからないことがまだたくさんあります。言語学のある研究で、「コミュニケーションに違和感を覚えた時のリアクション」に関する実験が行われました。数十人の大学生に、女子高生のキャラクターを冠したチャットボットと、LINE上で文字による会話をしてもらいました。この女子高生キャラクターは、時々突拍子もないおかしな発言をすることで知られています。おかしな発言が出て会話が破綻した時の大学生のリアクションを分析したところ、会話に対する満足度や性別によって特徴が分かれました。
会話は成立しているけれど、実は満足していない
実験後のアンケートで「会話に対する満足度が低い」と回答した男性は、キャラクターがおかしな発言をした時に「わからない!」「どういうこと?」といった反応を示す傾向がありました。一方で、同じく満足度が低いと回答した女性は、おかしな発言が出ると「話の腰を折ることなく、おかしな内容に合わせた会話を続ける」傾向が出たのです。一見成立しているような会話でも、満足したかどうかは別問題なのです。そして「満足度が高い」とした女性は、おかしな発言に対しては話題を変えて会話を続ける傾向が見られ、また、満足度が高いとした男性には際立った特徴は見られませんでした。
コミュニケーションのありかたが重要
AIを用いたチャットボットは、会話の内容の的確さや面白さを通じてユーザーを満足させられなければ、使い続けてもらえません。チャットボットの開発では、会話のリアクションと満足度の関連についての知見を取り入れることで質の向上が期待されます。また、会話の中身だけでなく、人の視線の配分やうなずきの回数、身ぶりなどもコミュニケーションに影響することから、認知科学やロボット工学分野との共同研究も活発に行われています。
参考資料
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