自分にぴったりの曲を薦めてくれるiTunesのカラクリ
好みに合う曲を集めてくれる仕組み
アップル社が無料提供するソフトiTunesを使えば、音楽や動画の管理が簡単にできるようになります。特にこのiTunesに付いている「Genius」という機能が優れものです。Geniusは、手持ちの曲の中からお気に入りだけを集めた演奏リストを自動的に作ってくれます。さらにGeniusは音楽のネットショップiTunes Storeの中にそろっている曲から、気に入りそうなものを教えてくれたりします。そのオススメ曲が結構当たるのです。Geniusの裏側では、一体どのようなシステムが働いているのでしょうか。
同じような好みを持つ人は、同じ曲を好きになる
例えば、Aというアーティストを好きな人たちのグループがあるとします。その中の多くの人がアーティストBも好きだとします。するとAを好きな人は、Bも好きになる確率が高いと考えられます。そこでAが好きだけど、まだBを聴いたことのない人に向けて、Bを推薦するのです。
Amazon(通販サイト)でオススメ本を推薦してくれるシステムも、基本的には同じような仕組みに基づいていると考えられます。オススメの精度を高めるカギは、データ量にあります。iTunesもAmazonもユーザー数が増え、データの蓄積量が増すにしたがって、精度が格段に高まってきました。
意外な組み合わせの裏に潜む因果関係を探る
アメリカではスーパーマーケットの購買データ解析により、缶ビールを買う男性の多くが、一緒に紙おむつも買っていることがわかりました。缶ビールと紙おむつには、一見何の関連性も見あたりません。しかし、膨大なデータから何と何が同時に買われているのかという知識を見つけ出し、商品の並べ方を工夫すれば、スーパーマーケットの売り上げを大きく伸ばす可能性があります。
社会システム科学は、膨大なデータから発見された知識を、マーケティングのみならず、社会におけるさまざまな問題の分析と解決に役立てようとする研究分野です。
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先生情報 / 大学情報
神戸大学 国際人間科学部 グローバル文化学科 教授 村尾 元 先生
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