グローバル化の中で叫ばれる「多文化共生」とは?
外国人を地域のコミュニティに迎え入れるには
グローバル化とともに人々の行き来が盛んになり、外国人と身近に接することが多くなりました。そうした中で提唱されてきたのが、食文化や習慣、言語、宗教などが異なる外国人とともに地域のコミュニティを作っていく「多文化共生」の考え方です。この考え方の必要性が叫ばれ始めたのは、在日コリアンや阪神淡路大震災での震災弱者としての外国人、そして最近ではブラジルやフィリピンなどから出稼ぎでやってきた、ニューカマーと呼ばれる人々の存在がきっかけです。
文化や宗教のぶつかり合いは政治的要素が大きい
多文化共生という考え方には、ある社会における異文化への理解と共存というニュアンスがあります。例えば、同じ日本人が少し変わったことをすると、その人個人の個性や性質としてとらえるのに対して、外国人が同じことをするとその国民や民族、地域の性質としてとらえがちですが、それは理解ではなく排除であり、さらには政治的な対立や線引きによってその違いが強調されていきます。しかし文化人類学では、文化的な違いを認めたうえで共通の文化のべースを持っているから互いに理解し合うことができ、その境界線を飛び越えることができると考えます。現実に私たちは理解し合っていることを忘れてはならないでしょう。
外国人に対する偏見や固定観念をとらえ直す
そもそも世界の文化のあり方は多様であり、ある一つの社会内部でもみんなが同じ文化を均質に持っているわけではありません。文化というものは境界があいまいで中身もごちゃまぜなのです。常に創られ変容していきます。したがって、常に対話を心掛ける、外国人に対する偏見が何に基づいているのかを冷静に見ていく、そして私たちのもつ固定観念をとらえ直すことが、多文化共生や異文化理解においては重要なのです。
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