日本企業の海外進出 世界を舞台にどんな組織構造がいいのか?
ヨーロッパも、北米も、1つの市場に
人やモノやお金、情報などが、国境を越えて世界規模で結びつくという「グローバル化」が進み、多くの日本企業が海外に進出しています。一方、ヨーロッパでは1992年以降、EU(欧州連合)が単一市場をつくり、その後アメリカ、カナダ、メキシコの3カ国も1つの地域経済圏を形成するようになりました。それらにアジア地域経済圏を加え「世界3極体制」といわれたこともあります。海外進出している多くの日本企業は、この地域経済圏に対応するため、それぞれの地域に「地域統括本社」を置き、地域内での事業が円滑に行われるよう地域統括マネジメントを実施しています。
「地域統括本社」の役割って何だろう
地域経済圏の新拠点となった「地域統括本社」は、以前からある「海外子会社」と「日本の本社」との中間の立ち位置にあり、その役割や機能を考える必要がありました。というのも、これまで海外子会社が個々に担っていた人事や法務などの業務は、地域統括本社がまとめて担うことで効率化されました。一方、例えば半導体から家電製品までさまざまな分野の商品を扱うような多角化企業は、日本にある製造事業部と海外製造子会社が直接やりとりする方が効率的であるため、地域経済圏で事業を完結させることのメリットがあまりありませんでした。そのため、地域統括本社を廃止する企業もみられました。地域統括本社は必要か、どのような役割を持たせるべきか、など企業によってさまざまな議論がなされています。
「グローバルな展開」が続くとは限らない
これまではグローバル化が進む前提で、海外に進出している多国籍企業の組織のあり方が語られてきました。しかし、イギリスがEUから離脱するなど、今後の世界情勢の中では、グローバル化の後退や分断も想定されます。国際経営の研究においては、今後そういった局面で多国籍企業の組織構造はどうあるべきなのか、考えていく必要があるのです。
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