アフリカと日本の文化に共通するものとは?

アフリカと日本の文化に共通するものとは?

近代化した私たちの生活も「迷信」に満ちている

「テレビに映し出されたアフリカの村の小さな家。薄暗い部屋の中には、顔色の悪い痩せた女性が病気で横たわっている。やがて伝統的な治療師が現れて、呪文のようなものを唱えながら、何だかわからない液体を女性に振りかけている」、こんなシーンを見て、どのように感じますか? 大方の人は、「こうした迷信に頼っているのは、近代的な医学や教育が普及していないからだ」、そして「近代化されれば、迷信から脱却できるのに」と思うことでしょう。しかし、近代化されているはずの私たちの生活にも、「お守り」や「御祓い」「占い」「スピリチュアリティ」などの「迷信」が満ちているのはどうしてなのでしょうか?

人間はなぜ「非合理的なもの」を求めるのか?

えてして私たちは、我々自身の生活の中にも占いや風水、御祓いなどの「非合理的なもの」がたっぷりとあるのに、それは置いておいて途上国の人々を「未開」だと見てしまいがちです。さらに、宗教的なものは「非合理的」で、政治経済的なものは「合理的」な判断に基づいて行われているとして、それらを分けて考える傾向にあります。しかしそれらは文化の総合的な要素であり、お互いに関係し合って私たちの生活や暮らしを成り立たせているものなのです。ではなぜ、人間はそういう「非合理的なもの」を求めるのでしょうか?

「非合理的」な行動や習慣をとらえ直すことが大切

それは、私たちが生きている世界を、そのなかで一人ひとりが出会う幸福や不幸という出来事を、「合理的」とされる科学的な世界観が必ずしもわかりやすく説明してくれるわけではないからです。そしてある意味で科学もまた、我々の「非合理的」な志向性や感じ方、考え方の中から生まれてきた多様な文化のひとつとみなすことができるかもしれません。そうした視点から、宗教や迷信といわれる「非合理的」とされる行動や習慣をとらえ直すことは、人間や社会、そして自分自身をより深く知るうえで、非常に重要なことと言えるでしょう。

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広島市立大学 国際学部  教授 田川 玄 先生

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文化人類学

メッセージ

広島市立大学国際学部での勉強は、世界を旅することに似ているかもしれません。なぜなら、アフリカ、アラブ、ラテンアメリカ、アジア、欧米、そして日本の文化について学べるからです。ただし、その旅はコースの決まったガイド付きパックツアーではありません。地図を使い自分で行き先とコースを決める自由な旅です。道に迷うこともあるかもしれませんが、それもまた勉強です。仲間と一緒に進めば不安はありません。国際学部の旅に出かけてみませんか? たくさんの世界の可能性をともに切り開いていきましょう。

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広島市立大学は、広島市の都市像である「国際平和文化都市」にふさわしい大学づくりをめざして、1994年に「科学と芸術を軸に世界平和と地域に貢献する国際的な大学」を建学の理念として開学しました。
世界と地域が求める新しい時代の要請に応えるため、「国際、情報、芸術、平和」をキーワードに、特色ある教育研究活動を通じ、学術の振興と感性豊かな創造力、実践力を備えた人材を養成し、教育研究の成果を地域に還元するとともに広く世界に発信しています。