求められる情報通信ネットワークの高速化と高信頼化
インターネットを支えるバックボーン
フェイスブックやツイッターなどのSNS、LINEやSkypeなどの無料通話アプリといったサービスは、私たちの生活に欠かせないものとなっています。こうしたインターネットの世界を支えるバックボーンとして、日々進化を続けているのが、人間が作り出した最大規模の複雑システムである情報通信ネットワークです。しかし地震などの災害が発生すると、短時間に情報が集中したり、ネットワークの一部が破壊されたりして、インターネットが使えない、電話が繋がらないなどといった問題が発生します。そこで求められるのが、人間の社会活動を支えるインフラとしてのネットワークの高速化と高信頼化です。
情報通信ネットワークは私たちの世界そのもの
情報通信ネットワークには、サーバやルータ、ハブなど、多数のノード(中継装置)が接続されています。ネットワークの信頼性を高めるためには、これらノードの制御を含めた情報通信ネットワーク全体をどのように設計するかが重要になってきます。身の回りにある、このような大規模複雑システムの典型例は、私たちの世界そのものです。その無数の構成要素やそこから生み出される多様性が、「常に秩序立って安定して存在するための仕掛け」とは何かを突き止め、それをシステムの安定した設計や制御に活用しようという研究が行われています。
自然界の物理現象をシステム設計に応用
水を入れた透明なパイプの真ん中にインクを一滴落とすと、左右に均等にインクが拡散していきます。この近隣同士間の作用が徐々に伝わっていくことで、離れた対象に到達する「近接作用(局所相互作用)」という物理現象が、情報通信ネットワークを構成するノードの「自律分散型フロー制御」に応用されています。具体的には、パケット(通信データの小さなかたまり)の混雑状況をノード自身が高速で判断し、周辺のノードに情報を伝達し、パケットのスムーズな流れを自律的に制御することで、システムの高速化と高信頼化を実現しています。
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