中国経済はわかりにくい! それでも世界は目が離せない
キーワードは「不確実性」
中国経済はいまや世界経済に大きく影響する存在ですが、その特徴は「わかりにくさ」「不確実性」にあると言えます。理由は複数あります。1つには、統計の信ぴょう性の問題が挙げられます。例えばGDP(国内総生産)については、中国全体の統計と地方ごとの統計が食い違っています。地方の幹部が自分のところの成長を高く見せるために粉飾をしていると考えられています。客観的なはずのデータがそのように不確実であると、それ自体がリスクや、わかりにくさへとつながっていきます。
実態の見えない中国版「影の銀行」
もう1つは、中国の経済システムが極めて独特であることです。それは「影の銀行」の存在に代表されます。「影の銀行」とは、銀行のようなお金の貸し借り業務を行う銀行以外の金融機関全般のことを指します。同様のものは欧米にもありますが、中国では、銀行自身が本来の業務とは切り離して、「影の銀行」としての業務を表に出さないようにしてやっているという点で独特です。これはリーマンショック後に広がっていったものですが、いまやそれがどのくらいの規模なのか、実態は誰にもわかっていません。
不確実性は必ずしもマイナス面ばかりではない
難しいのは、「影の銀行」のような不確実性を生み出す要素が、単純になくすべきものとは言い切れないところです。これらが中国の成長率を押し上げ、経済を引っ張ってきた側面もあるからです。中央政府(国)は「影の銀行」を規制し、目に見える形で金融をコントロールしたいと考えていますが、逆に、地方政府は「影の銀行」と結びつき、資金源として頼っているところも多くあります。中国経済の成長が鈍ってきた昨今、「影の銀行」が今後どうなっていくかに注目が集まっています。いまやGDP世界第2位の中国で、なんらかの動きがあれば、すぐに世界中に影響がおよびます。わかりにくいからといって、ただ眺めているわけにはいかない存在になっているのです。
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