EUの経済・金融の取り組みから、日本が学べることとは?
EUの経済、金融システムを観察
ヨーロッパの27カ国で作られた政治や経済の共同体、それがEUです。EUの活動は多様ですが、特に経済分野では、EUを一つの枠組みとして考える「市場統合」が行われました。これは、経済成長を目的に、国それぞれに事情や慣習があることを前提に共通の適切なルールを作ることで、EU内での人・モノ・サービス・お金の動きを自由にする取り組みです。また、市場統合を果たした後には通貨統合により「ユーロ」という共通通貨が導入されました。どちらも実施後何十年もたっているため、これらに関する法整備などは完成したと思われがちですが、実際には今も変化が続いています。そんなEUの「今」を観察・分析する研究は、日本の経済や金融システムを観察する上でも大いに参考となります。
EUと日本との共通点
ではなぜ、EUの動向が日本の参考になるのでしょうか。それは、お金の融通の仕組みである金融システムが、両者とも銀行を中心に作られているという共通点があるからです。かつて世界で大きな経済危機が起こりましたが、ヨーロッパでも銀行がひどい損害を受け、経済が大きく混乱しました。そこでEUでは金融危機以降、銀行に依存する金融システムではなく、企業が株式や社債といった市場でもお金を調達しやすい仕組みを作ろうという動きが起こりました。
最近では日本でも株式や投資信託など、いろいろな形で資産運用していこうとする流れが生まれています。ただ、長く銀行に依存してきたからこそ変化するのが難しく、多様な取り組みに挑戦している状況と言えるでしょう。
経済の活性化と安定を考えるために
日本と違い、EUは複数の国が集まっているため、金融システムを変えていくにはより複雑な問題が起こりがちです。そんな中で、EUにどのような制度ができて、どのような効果や変化を生んだかを長い時間をかけて見つめていく研究は、似たシステムを持つ日本にとって大いに重要です。EUの取り組みを参考に、日本や世界に向けた新しい提言をすることも可能となるでしょう。
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熊本学園大学 商学部 商学科 講師 松下 俊平 先生
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