政府(国や地方自治体)の役割について考える
民間財と公共財
あなたが何かモノやサービス(=財)を市場で購入する時、それをあなたが消費すると、ほかの人はもう消費することはできません(=競合性)。また、それを消費するためには、対価を支払う必要があります(=排除性)。経済学ではこうした特性を持つ財を「民間財」と呼んでいます。これに対して、国防や外交、治山治水、道路、警察、消防といった公共サービスは、あなたが消費していてもほかの人も消費でき(=非競合性)、その対価を支払わない人でも消費から排除できません(=非排除性)。こうした特性を持つ財は「公共財」と呼ばれ、すべての人の暮らしに必要とされる公共財の供給が政府(国や地方自治体)によりなされています。
税金の「応能負担」
民間財の多くは、市場での取引において、その消費から得られる便益に応じて対価を支払います(自分の評価と負担の一致)。これを「応益負担」といいます。公共財は「税金」により供給されますが、税金の応益負担は難しく、各個人の支払能力に基づく「応能負担」が公平だと考えられています。また、応能負担された税金は、社会保障の財源としても機能しています。公共財の供給は、政府の役割の根幹ですが、市場は格差の拡大に対しては無力であるため、政府による社会保障は重要です。
地方自治体の持続可能性を高める
このように、政府による公共財の供給や社会保障、その財源となる税金などについて考える学問を「公共経済学」といいます。理論モデルの構築や統計データを用いた実証、それらを補強するケーススタディといった研究活動を通して、公共分野における課題を解決する道筋を考えていきます。例えば、最もコストが抑えられるごみ処理場の配置や、公共サービスを民間企業へ委託する際のあり方について検討することも研究活動の一環です。
こうした研究を通して得られた知見は、人口減少・過疎化・財源縮小といった課題に歯止めがかからない地方自治体の持続可能性を高めるためにも、役立てられています。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。