13億の「個」との付き合いをめざして

13億の「個」との付き合いをめざして

イメージの裏側は?

教科書問題をはじめとして日本と中国の間には数多くの歴史問題が横たわっています。反日のデモの映像をニュースで見たこともあるでしょう。もちろん、解決していかなくてはいけない事柄がたくさんあります。ですが、反日デモなどのイメージにとらわれて、中国のことを正しく理解できていない人が多いのも事実です。
中国に行って聞き取り調査をすると、日本人に対する反応は人によってまちまち。これは当たり前のことです。日本人が中国に対して各自異なる印象や考えを持っているように、彼らも一人ひとり「個」で考えを持っています。ニュースなどで知る中国も、同じ中国には変わりありませんが、それは多面的な顔を持つ国家の一つの表情にすぎないのです。

始まりは「わたし」と「あなた」

東京の街を歩いていると、中国語や韓国語など、アジアの言語を耳にすることが多くなりました。以前に比べてアジア人がより身近な存在になったのは確かです。「中国、韓国は日本の隣人」とよく言われていますが、文字通り中国、韓国などのアジア人があなたの隣人となることも十分あり得ます。そうした際にコミュニケーションを図るには、まず相手のことをよく知ることが必要です。
日本人、中国人といいますが、人と人とのコミュニケーションは「個」と「個」から始まります。人を好きになれば、その人が何を考え、何をしてきたかを知りたくなります。つまり、歴史的にものを考える。それと同じことです。中国人のことを理解するためには、中国の歴史を無視するわけにはいかないのです。
中国は日本に多大な影響を与えていますから、中国の歴史を知ることは、日本のことを知り、理解する上でたいへん役立ちます。中学、高校で触れる中国の歴史の勉強は、受験勉強の要素が多分にあります。しかし、隣人を理解する手段としても、そして自分たちの過去や現在の立ち位置を知る手段としても、実に魅力的な学問なのです。

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先生情報 / 大学情報

東京学芸大学 教職大学院(大学院教育学研究科) 教育実践創成講座 教授 田中 比呂志 先生

東京学芸大学 教職大学院(大学院教育学研究科) 教育実践創成講座 教授 田中 比呂志 先生

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メッセージ

大学で学ぶことを研究と言いますが、教育学部で歴史学を研究するのも、文学部や人文学部で研究するのも中身は同じなのです。歴史学という学問は、時間と空間とを異にする対象に接近してその意味を考える学問で、まさに異文化理解の学問です。また、過去の事柄を研究対象としますが、実は現在に生きる自己に向き合い、自己を知り、そして今を知るための学問でもあるのです。必要なものは、「なぜ」という好奇心だけ、固有名詞や年号を暗記する必要は無いのです。あなたも、過去からの問いかけに耳を傾け、新しい発見をしてみませんか。

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