スウェーデンの労働をめぐる社会システムは日本と正反対!?

スウェーデンの労働をめぐる社会システムは日本と正反対!?

倒産しても、大丈夫!?

日本では、会社が倒産すると、経営者も労働者も生活の糧を失い、経済的・精神的に大きな打撃を受けます。再出発をするにしても、元の生活水準に戻るためには、長い年月と並々ならぬ努力が必要です。時代の流れによっては、再起の努力が報われるとは限りません。ですから、経営者も労働者も、会社の存続を図るために、長時間労働と低賃金に甘んじることもあるのです。ところがスウェーデンでは、会社の倒産によって労働者が路頭に迷うことはありません。セーフティーネットがたくさん用意されているからです。

学費は無料、学生には奨学金

スウェーデンでは、勤めていた会社が倒産しても、そこから大学に再び入学し、医師になって復活を果たす、などということが珍しくありません。スウェーデンでは、学費はすべて無料です。生活費は奨学金で賄うことができます。再教育を経て再就職した人は、しっかりと働き、高い税金を払って社会を支えます。つまり、「会社は潰れても、働く人の未来は保障する」という社会システムが、スウェーデンでは機能しています。そんなスウェーデンの経済力は日本より高く、人々の幸福度も高いのです。

日本と異なる社会を知ることの意義

日本では、一度失敗すると、そこから再びやり直すハードルはかなり高いのです。他方、スウェーデンではそのハードルはとても低いのです。それは個人を幸せにするだけではなく、世の中の変化に合わせて労働力が移行するので、国の経済成長も促します。
もちろん、日本とスウェーデンには、それぞれの国の歴史や事情があり、単純に比較することはできません。しかし、日本のシステムが唯一絶対なのではなく、日本と正反対に見えるシステムが有効に機能している場合も多いのです。こうやって視野を広く世界に広げ、さまざまな国の社会システムを研究することは、日本の未来を考える上で、大変重要なことなのです。

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明治大学 国際日本学部  教授 鈴木 賢志 先生

明治大学 国際日本学部 教授 鈴木 賢志 先生

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