Jリーグが地域にもたらしたもの、「スポーツマネジメント」を考える
地域密着の理念を掲げるJリーグ
1993年に誕生した日本プロサッカーリーグ、通称Jリーグは当初は10クラブによる開催でした。しかし、現在はJ1、J2、J3の3部で構成されるリーグとなり、日本各地に数多くのプロサッカークラブが誕生するようになりました。それまでの日本におけるプロスポーツは、企業が中心となって運営されるものがほとんどでした。ところがJリーグは当初から、ヨーロッパのサッカークラブを参考にして、各地域の住民とともに歩む地域密着型のクラブ運営を理念として掲げたのです。
住民に愛されるクラブになるには?
例えば、アルビレックス新潟は、J1での優勝経験はまだありません。しかし、観客動員数ではJリーグでも1、2を争うほどの人気を誇ります。それは、地元新潟の住民を大切にしたマネジメントの努力により、アルビレックス新潟を「おらが街のクラブ」と思える住民の地域ロイヤリティ(愛着心)を持つ存在として根付かせることに成功したからです。
もし、クラブに潤沢な資金があれば、スター選手を数多く獲得し、Jリーグでも優勝を狙えるようになるかもしれません。しかしそうした目先の結果を求めるやり方だけでは、地域ロイヤリティを維持し、長期的に観客動員数を安定させることは難しいでしょう。ユース世代から生え抜きの選手を育成し、チームを支える主力にしていく方が、より地域ロイヤリティを高め、堅実に地域に愛されるチームになるのです。
住民も一緒に成長していく
Jリーグのクラブなどによるスポーツをその地域の文化として定着させていくためには、選手だけでなく、住民側も一緒に成長していく必要があります。目先の勝敗だけに左右されず、より長期的な視点でクラブを支えていく考え方を持つのです。そして、住民自身もクラブを通じてさまざまなスポーツを楽しむようになれば、プロスポーツに対する理解もさらに深まっていくでしょう。
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先生情報 / 大学情報
新潟医療福祉大学 健康科学部 健康スポーツ学科 教授 西原 康行 先生
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