アメリカには、いまも馬車を使って生活している人たちがいる

アメリカには、いまも馬車を使って生活している人たちがいる

電気も電話も使わない

アメリカには「アナバブティスト」と呼ばれる人たちがいます。電気や電話、自動車をほとんど使わず、今でも馬車で移動しています。「アーミッシュ」や「メノナイト」といったいくつかのグループがあり、コミュニティとして生活していますが戒律はそれぞれに違います。

コミュニティの中で生きるか、外で生きるか

アナバブティストは日本語では「キリスト教再洗礼派」と呼ばれています。もともとがキリスト教の幼児洗礼に反対したグループで、現在でも一定の年齢に達した時点でアナバブティストになるかどうかを自分で選択します。もしならないと決めればコミュニティから出ていかなければなりません。しかしほとんどの人がアナバブティストとして生きていくことを選んでいます。その理由のひとつとして考えられるのが教育です。
彼らはコミュニティの中の学校に通います。しかし中学校ぐらいの年齢までしか教育が施されていないので、資格を取ることもできないので「外の世界」で生きていくのは難しいのが現実です。

コミュニティの結束を守る

少し前までは「古きよき時代」の生活をしている彼らは人気がありましたが、現在ではコミュニティ内のことがなかなかわからないので犯罪の温床になっているのではないかと疑う人もいます。
かつては農業による自給自足の暮らしをしていましたが、現在では大工や自動車整備などをして生活している人や、お店を経営している人もいます。もちろんコミュニティ以外の人が買うこともでき、一般の人たちとの交流もあります。
しかし、自動車を使わないのは、遠くへ行くとショッピングセンターなどで買い物ができるのでコミュニティ内の商店で買い物をしなくなることが理由のひとつです。また電話がないのは人との直接の会話がなくなるからです。もし戒律に違反すると、コミュニティの人と一緒に食事ができなくなるなどの罰が課せられます。彼らが最も大切にしているのはコミュニティの結束なのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

鳥取大学 地域学部 地域学科 国際地域文化コース 准教授 中 朋美 先生

鳥取大学 地域学部 地域学科 国際地域文化コース 准教授 中 朋美 先生

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アメリカ研究学、人類学

先生が目指すSDGs

メッセージ

「地域学部」というと、地元のことを学ぶのかと思われるかもしれません。
それもいいのですが、そこにプラスして「地域」というものが自然にあるのではなく、社会的歴史的背景があって形成されてきたことを研究しています。ゼミではアメリカの中の地域のつながりや、多文化での対立や共生について考えていきます。地域を内から、外から見る学問です。また世界的な企業と地域との関わりについても研究しています。ダイナミックで多様な地域の姿を社会、経済、政治と関連させて考えていければと思っています。

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鳥取大学は、教育研究の理念に「知と実践の融合」を掲げ、高等教育の中核としての大学の役割である、人格形成、能力開発、知識の伝授、知的生産活動、文明・文化の継承と発展等に関する学問を教育・研究し、知識のみに偏重することなく、実践できる能力をつけるように努力しています。また、研究・教育拠点、幅広い専門的職業人の養成、地域の生涯学習機会の拠点、社会貢献機能など個性輝く大学を目ざし、地方大学にこそ求められるオンリーワンの研究開発を行い、社会に貢献し、国際的競争力を確保できる大学運営を目ざしています。