国際機関で発言力を増す中国
中国外交の二面性
中国の政治外交には、二面性があります。友好的なスタンスもあれば、一方で尖閣諸島に船を進入させるなど強行的な手段をとることもあります。中国政府は長期的な戦略のもとに外交を進めており、将来的にはアメリカと並ぶ大国になることをめざしていると考えられています。
発言力を増すための準備
中国は国際機関で発言力を得るために着々と準備を進めてきました。例えば英語を話せる人材育成に力を入れる、アメリカに留学生を送り込むなどです。実際に国際機関における中国の影響力は増しており、背景には経済的な成長もあります。2008年のリーマンショックに端を発する世界金融危機以降、世界各国で経済状況が悪化しました。一方で中国は国内のインフラ整備などに資金を投じ、中国経済だけが一人勝ちする状況となりました。GDP世界第2位になった2010年頃から中国は大国としての発言を意識するようになり、2012年からはトップに就任した習近平国家主席のもとで、より積極的に国際社会で意見を述べるようになりました。
発言と行動の矛盾
中国政治は複数の資料を研究することで本質が見えてきます。中国が発表する文書だけでなく、アメリカの調査機関や政府機関が発表する文書、さらに国際機関の議事録をみると、中国政府が平和を維持するための活動に協力すると発言していても、実際にはシリアの内戦終結に手を貸さないなど、言動が矛盾している事例があります。
また国内政治においては数年ごとの行動計画を提示し、経過報告をすることで着実に経済成長していると主張していますが、政府発言の信ぴょう性には議論の余地があります。例えば各省の代表が集まって行われる全国人民代表大会では、省ごとの経済成長率が10%を超えたなど水増しの報告もありました。中国の経済的成長が目覚ましいのは間違いないものの、研究においては正確な情報を得て客観的に判断することが求められます。
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専修大学 法学部 政治学科 准教授 吉川 純恵 先生
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