地元産を食べたい! 地産地消を図るアメリカの地域農業
アメリカの農業とは
アメリカ合衆国での農業は、大型の農業機械を投入して効率化を高めてきました。このような大規模生産は、企業が行う農業ビジネスに発展し、少数の大企業が農産物の利益を独占する寡占状態が進んでいます。大量に生産された農産物は、アメリカ国内だけでなく世界中に輸出され、多くの消費者はどこで作られたかを気にせずにそれらを食べてきました。しかし最近では、このような農業のあり方に疑問を抱く人が増えてきており、アメリカ国内でもローカルな農業生産が広まってきています。
地域での都市農業
地域ごとの小規模な農地である都市農園で作られた農産物は、主に地元の直売所であるファーマーズマーケットで売られます。このような動きは、企業による寡占が急増した1990年代に始まりました。アメリカ農務省が調査し始めた1994年は、ファーマーズマーケットの数が1755カ所だったのに対して、2016年には約5倍に増加しています。このような農園で生産された農産物の一部は恵まれない人の施設に寄付されるなど、都市農園は社会活動としての役割も担っています。
また、空き地問題の解決策としても都市農園は注目されています。例えば、かつては自動車産業により人口が増加したデトロイトは、その後の産業の衰退とともに人口が流出し、町の中に大量の空き地が発生しました。これらの空き地は農地に転用されて、低所得層への食料供給や地域コミュニティの活性化など、さまざまな目的のもとに都市農業が行われています。
農本主義の影響
アメリカ合衆国の第3代大統領であるトーマス・ジェファーソンは、国を築く上で農業を基盤とした農本主義を提唱しました。彼は独立した農家が自給自足の経済を築くことを重視して、地域の自立を促進するための政策を支持したのです。その思想はアメリカの歴史の中で影響力を持ち続けています。それが、農業の持続可能性や地域経済の重要性に焦点を当てた現在の流れにつながったと言えるでしょう。
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