患者さんと家族の安心・安楽を保証するケアを
やさしさよりも大切なものがある
看護師にとって、いちばん大切なことは何だと思いますか? 「やさしさ」「思いやり」という言葉を思い浮かべるかもしれませんが、いちばん大切なのは、看護技術です。患者さんにやさしい言葉をかけることはもちろん大切です。しかし、痛さ、苦しさは言葉だけでは解消できません。注射、点滴、採血、酸素吸入をしている人のケア、痰(たん)の吸引、車いすでの移動など、確かな看護技術が必要です。患者さんの信頼は、確かな技術があってこそ得られるものであり、それはまたご家族にとっても安心と安楽の保証につながります。看護師は患者さんの状態を多角的に把握し、治療がスムーズに進み患者さんが健康を回復できるようケアを行っていきます。
退院してからのことも見通した看護を
がん、生活習慣病などの慢性疾患は、長期にわたる治療が必要となります。ところが、現在の医療現場では患者さんが入院する日数は短くなっており、平均して12~13日です。昔なら、治療がすべて終わるまで入院していましたが、今は外来通院で治療を続ける人も多くなっています。看護師は患者さんがどのような生活に戻っていくのかを入院中から考え、看護を行う必要があります。そして、退院後患者さんと生活する家族も含めて看護を考えることが重要です。
患者さんと家族を支える
家庭での療養は、患者さんにとっては慣れ親しんだ環境でリラックスして過ごせるというメリットがあります。一方で、医療従事者の目の届かない状況で、患者さんの療養上のお世話(介護)は家族に任されることになり、その負担が大きいという問題もあります。現代は、家族の人数も少なく、高齢化も進んでいますから、家族だけで乗り切ることは容易ではありません。看護師をはじめ、医療従事者には、患者さんを含めたご家族がどのような生活を送っているのか、どのような手助けが必要なのかを見極め、適切なサポートをすることが求められているのです。患者さんと家族に安心と安楽をもたらすような看護が必要とされています。
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先生情報 / 大学情報
高知県立大学 看護学部 看護学科 教授 長戸 和子 先生
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