地元を元気に! 地域福祉の力を高めよう!
制度だけでは解決できない問題がある
人々が生活する上で、個々の家庭だけでは解決困難な問題に直面することがあります。このような時の支えになるのが、社会保障制度です。医療保険や雇用保険、年金保険、生活保護、児童福祉、障がい者福祉、介護保険などさまざまな制度が、国民の生活の問題を解決するための仕組みとして整えられています。しかし、行政が進める制度だけで、すべての問題が解決できるわけではありません。
いきいきと暮らすために重要な地域福祉
日本は今、少子高齢化や過疎化の問題を抱えていて、2040年には、全国1800市区町村の半分の存続が難しくなるという予測もあります。地域で安心していきいきと暮らし続けるためには、住民自らが問題を見つめ、解決することが重要です。これが、「地域福祉」という考え方で、住民主体で知恵を出し合って問題解決のためのプランを実行し、継続していくことで、「住み続けたい」「もっと良い地域にしよう」と思うエネルギーにつながるのです。
地域の高齢者から子どもまで、年齢や障がいの有無にかかわらず住民が交流を持ち、ともに過ごすことで問題を解決する「共生ケア」が注目されています。これは、住民の居場所や活躍の場をつくり、人間関係を築く中で力を合わせて問題を解決しようとするものです。
実践で育む地域福祉の力
住民の活動は、行政やNPO、ボランティア、地域福祉を学ぶ大学生などがサポートします。学生も地域に出かけ、住民に話を聞きながら、一緒に対策を考え、実行を支援するのです。例えば、ひとり暮らしのお年寄りを見回る仕組みづくりや、農作物を荒らす鳥獣の対策、また地域の特色を生かして文化の継承や祭りの復活、特産物の商品化に取り組んだりしています。このような地域貢献の機会は、学生にとって、いろいろな人たちと協力しながら「生きた地域福祉」を体験する貴重な場になるとともに、大学で理論や知識を学ぶだけではない、未来に向けての実践的な力を養う場になるのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
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先生情報 / 大学情報
高知県立大学 社会福祉学部 社会福祉学科 教授 田中 きよむ 先生
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