ショウジョウバエはスゴイ! 実験生物が解き明かす生命の秘密

ショウジョウバエはスゴイ! 実験生物が解き明かす生命の秘密

さまざまな研究に貢献するショウジョウバエ

ショウジョウバエは体長3ミリほどで赤い目を持ち、熟した果物などの自然酵母をエサに育ちます。台所の生ごみの周りで飛び回っているのを見たことがあるでしょう。小さい上に珍しくもなく、しかも「ハエ」という属性もあり、ほとんど顧みられないショウジョウバエですが、実は、極めて優れた実験生物です。卵から親になるまで10日と短い上、目の色や羽の形など、身体的な特徴が明らかなことから、古くから多くの交配実験に利用され、近年は、遺伝子の研究に利用されています。

遺伝子を操作して生命現象の因果関係を探る

生物の機能を司るのは遺伝子で、遺伝子のスイッチが「オン」か「オフ」かにより、生物の機能は変わってきますが、どの遺伝子がどの機能に影響しているかは、まだ解明されていません。そうした遺伝子の働きを調べるのに、ショウジョウバエが利用されているのです。
例えば、人間の体のある機能が低下するとき、早く死んでしまう遺伝子があるとします。しかし、こうした現象を多数集めただけでは、両者の因果関係を証明することはできません。そこで、その遺伝子の働きを強くしたショウジョウバエを作り、体のその機能の衰え具合を調べ、機能の衰えが確認できなければ、その遺伝子が体のその機能と衰えに関係していることが証明できます。

ショウジョウバエと人間は似ている!?

人間のような高等動物の身体機能を調べるのに、ショウジョウバエを使った研究で得た結果が有効なのかと疑問に思う人もいるでしょう。ショウジョウバエの遺伝子の数は1万5000、一方、人間の遺伝子の数は2万5000ですが、生物としての基本的仕組みは、ショウジョウバエも人間もそれほど差がありません。高等生物に見られるような現象がショウジョウバエでもかなり多く見られるため、ショウジョウバエを用いた実験から得られた知識は、人間にも適用でき、老化や病気の原因の解明にも役立てることができるのです。

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東京都立大学 理学部 生命科学科 教授 相垣 敏郎 先生

東京都立大学 理学部 生命科学科 教授 相垣 敏郎 先生

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生命科学、生物学

メッセージ

進路を考える時に、自分が将来やりたいことがよくわからないという人もいるでしょう。そういう人は、少しでも興味のあるものがあったら、足を踏み入れてみることをお勧めします。もしかしたら、それがとても面白くなるかもしれませんし、逆に、全く面白くないかもしれません。「面白くないこと」がわかっただけでも意義はあります。
どんな年齢でも、その年齢なりに真剣勝負をしなければ、見えてくるものはありません。「面白そうなことに挑戦してみること」が大切です。

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