地球環境にやさしいコンクリートの作り方と再利用法
コンクリートは環境に負担をかけている?
橋やトンネル、ダム、ビルなど、さまざまな施設や構造物の素材としてコンクリートが用いられています。しかし、その製造や利用の方法によっては、地球環境に大きな負担をかけることになることも事実です。そこで今、できるだけ環境に負荷をかけない形でコンクリートを活用するための研究が盛んに進められています。
産業廃棄物を活用してCO₂を削減
コンクリートの主要な材料の一つであるセメントは、石灰石(炭酸カルシウム)などを用いて作られますが、その製造過程で高温で焼いて酸化カルシウムを生成する際に、大量の二酸化炭素(CO₂)が発生します。セメントの使用量を少しでも減らして二酸化炭素の発生量を抑えるため、セメントの代替となる材料の研究が進められています。
その中でも注目されているのは、製鉄所から排出される鉄以外の不純物である「高炉スラグ」や、石炭を用いる火力発電所から排出される「フライアッシュ」と呼ばれる石炭灰の粒子などです。高炉スラグやフライアッシュをセメントの一部分と置き換える方法でコンクリートを製造すると、長期的にはむしろ強度が高くなるという研究も報告されています。高炉スラグもフライアッシュもそのままでは産業廃棄物でしかないため、それらを有効活用できるという点でもメリットがあります。
解体したコンクリートも再利用する
また、解体した構造物から出るコンクリートの再利用についても、さまざまな研究が進められています。解体したコンクリートを砕いて新たにコンクリートを作る際に必要な砂利として用いる場合も増えてきましたが、現時点ではそうして作られたコンクリートは品質的にやや劣るため、例えば、耐久性があまり問題とならない構造物や道路建設の際の路盤材として用いるなど、用途をある程度制限する必要があります。
さまざまな面でより環境にやさしく、より優れた性質を持つコンクリートについて研究していくことは、私たちの社会そのものを支えていく礎にもなるのです。
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