「栄養指導」から「栄養支援」へ 管理栄養士が挑む新たなアプローチ
「朝ご飯を食べましょう」の本当の意味
「きちんと朝ご飯を食べましょう」と言われますが、これは決して「朝ご飯だけをきちんと食べましょう」という文字通りの意味ではありません。和食なら一汁三菜、パン食ならハムエッグに野菜スープをつけるなど、栄養バランスのとれた朝ご飯を用意できる生活環境なら、必然的にお昼や晩ご飯にも気を使っているはずです。夜更かしをしてスナック菓子やラーメンを食べていたら、朝はおなかが空くはずもありません。朝ご飯は健康的な食生活全体のバロメーターなのです。
1週間の食生活でバランスを考える
人によって理想の栄養摂取量や食生活パターンがありますが、忙しい現代人にとって1食単位で栄養バランスを整えることは難しいものです。管理栄養士が食生活や栄養指導をするときは1食ごとの栄養量にはあまりこだわらず、「1週間で何をどれぐらい食べていますか」と尋ねて、週単位での栄養摂取量を計算します。また毎食、食べたものを記録してくださいと言っても、たいていの人は面倒になって続きません。週単位ほうが、難しく考えずに普段の食生活を把握でき、それくらいの期間でバランスが取れていれば問題ないのです。
その人ができることから栄養支援
いまの栄養指導は、管理栄養士がより良い方法を一緒に考える「栄養支援」に変わりつつあります。食事制限の必要な病気で入院していた患者さんが退院するときは、家に戻ってからもバランスの取れた食生活を続けられるように、管理栄養士が指導しますが、世の中には美食やジャンクフードの誘惑がいっぱいです。管理栄養士が常にそばについているわけにもいかないので、自身ではだんだん食事管理がおろそかになり、病気が悪化してまた病院に戻るケースが少なくありません。大切なのは、その人ができることから指導することです。どうしたら栄養管理を途中でやめなくてすむのか、その人の性格やライフスタイルなどをも考慮に入れた新しい形の「栄養支援」が求められています。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
大阪公立大学 生活科学部 食栄養学科 教授 大関 知子 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
栄養学、食品科学先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?