「フィールドワーク」と「データ」から、発展途上国について考える

「フィールドワーク」と「データ」から、発展途上国について考える

発展途上国とは?

「発展途上国」には、貧困、格差、紛争など厳しい現実に直面している国やエリアというイメージを持つ人が多いでしょう。多くの発展途上国の現実には、日本にいる私たちの想像を絶するものがあります。国によって差がありますが、約13億人もの人口を持ち、近年、高い経済成長率を見せている中国も、発展途上国の1つです。日本の87%ほどの国土に約3,000万人が暮らしているマレーシア、日本の5倍以上の国土に約2億5000万人が住むインドネシアも、発展途上国です。ほかにもアジア、アフリカ、ラテンアメリカ、オセアニア、欧州、中東などに、発展途上国とされる国々(地域)があります。

都市と農村の著しい格差

実際に、こうした国に足を運び、現実を自らの目と耳、感性でとらえることは、離れた日本でテレビやインターネットを通して見るよりもずっと衝撃的です。中でも、これらの国の中にある「格差」には驚きを禁じ得ません。例えば、一見のどかな田園地帯に見える農村の中で、幼児売春が横行していることがあります。スラム街や都市のネオン街ではなく、日常生活が営まれている、まさにその場でこうした犯罪が行われているのです。また、非常に貧しいエリアの数キロ先には、近代的な都市景観が広がっていることもあります。つまり、都市と農村のすさまじい格差、都市の中でも広がる格差が、どの発展途上国にも認められます。この格差が、発展途上国を定義づける1つの現実と言えるかもしれません。

「経済学」という手法

経済学にはさまざまな手法があり、その1つに仮説を立て、さまざまなデータを駆使して、それを検証する方法があります。例えば、所得水準の向上とともに環境破壊が進むが、一定期間を過ぎると環境破壊に歯止めがかかるという仮説「環境クヅネッツ・カーブ」を、データをあてはめて検証する研究などです。こうしたデータを駆使する研究方法とともに、現地を訪れるフィールドワークから各国の経済の現状を明らかにすることができるのです。

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先生情報 / 大学情報

大阪公立大学 経済学部 経済学科 教授 森脇 祥太 先生

大阪公立大学 経済学部 経済学科 教授 森脇 祥太 先生

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経済学、社会学

メッセージ

インターネットが普及した現代では、すべての「オーソリティー(権威)」が音を立てて崩れています。その中で大切なことは、情報に対する感度を鋭くすること、思考を「ボーダレス化」することではないでしょうか。同時に、学生時代は世のため人のために何ができるかを、自由に考えられる時期です。社会人になったらできなくなることも多いので、学生時代には、自分のために考えることを6割、あとの4割は社会のために一生懸命考えることに取り組んでほしいと思います。

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2022年4月、大阪市立大学と大阪府立大学が統合し、大阪公立大学が誕生しました。大阪市立大学、大阪府立大学は共に約140年の歴史ある大学であり、水都として交通の要衝であった大都市大阪とともに発展してまいりました。この地の利を生かし、理論と実際を有機的に結合することにより、両大学は大都市大阪で生活する人々が必要とする精神文化の発展や産業と経済の振興を担う中心機関としての役割を果たしてきました。本学はさらなる異分野を融合・包摂した新たな学問の創造と多様な世界市民の育成を目指します。