住みやすく人が集まる場所や空間を提案する都市デザイン
「建築デザイン」と「都市デザイン」の違い
建築は自分で図面を引き、自分の考えを投影して完成させていくデザインであるのに対し、都市デザインは、将来はこんな都市になっているべきという将来像を描き、都市や街に関わる人たちに戦略や仕組みを提案していくものです。地形や自然、政治経済、歴史や文化などその都市や街の持つ要素を加味しつつ、人が集まって賑わい、安全・安心な生活を送ることができるように考えていきます。都市デザインは、市民から夢やニーズを吸収し、市民とともに提案をつくりあげていくコミュニケーション能力が求められるものです。
「ヒューマンスケール」の大切さ
都市デザインというと、スケールが大きく都市全体を俯瞰する目線で行いがちですが、最近では住む人の目線で考える「ヒューマンスケール」の大切さが注目されています。実際に多くの人が道を歩いているときの歩きやすい道幅や圧迫感のない建物の高さなどに配慮して計画した街に、人は心地よさを感じるのです。
テーマパークより、何もないドラえもんの空き地?
東京の中目黒は川沿いの通りにリノベーションをしたおしゃれな店舗が多く、若者が集まる個性のある街として注目を浴びています。都市や街にはこのように人が集まる場所をつくることが大切です。
しかし、人が集まるからといって、いつも人で賑わうテーマパークと同じように都市をつくればいいというわけではありません。テーマパークにはあくまでも非日常を楽しむために人が集まるのです。
人々が日々を暮らす街には、実はドラえもんに登場する「近所の空き地」のような、何もないのに人が集まる場所こそが必要です。そこは、管理された公園や、遊び方が計算されたテーマパークとは違い、自由でいろいろな可能性を持つ空間です。だから人が自然に集まり、何かが始まるのです。
現在、地価や維持管理などの難しい問題もありますが、空き地的な役割をもつ公共空間をまちに取り入れて、人を惹き付ける街にしていくことが課題となるでしょう。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。