講義No.06450 建築学

住みやすく人が集まる場所や空間を提案する都市デザイン

住みやすく人が集まる場所や空間を提案する都市デザイン

「建築デザイン」と「都市デザイン」の違い

建築は自分で図面を引き、自分の考えを投影して完成させていくデザインであるのに対し、都市デザインは、将来はこんな都市になっているべきという将来像を描き、都市や街に関わる人たちに戦略や仕組みを提案していくものです。地形や自然、政治経済、歴史や文化などその都市や街の持つ要素を加味しつつ、人が集まって賑わい、安全・安心な生活を送ることができるように考えていきます。都市デザインは、市民から夢やニーズを吸収し、市民とともに提案をつくりあげていくコミュニケーション能力が求められるものです。

「ヒューマンスケール」の大切さ

都市デザインというと、スケールが大きく都市全体を俯瞰する目線で行いがちですが、最近では住む人の目線で考える「ヒューマンスケール」の大切さが注目されています。実際に多くの人が道を歩いているときの歩きやすい道幅や圧迫感のない建物の高さなどに配慮して計画した街に、人は心地よさを感じるのです。

テーマパークより、何もないドラえもんの空き地?

東京の中目黒は川沿いの通りにリノベーションをしたおしゃれな店舗が多く、若者が集まる個性のある街として注目を浴びています。都市や街にはこのように人が集まる場所をつくることが大切です。
しかし、人が集まるからといって、いつも人で賑わうテーマパークと同じように都市をつくればいいというわけではありません。テーマパークにはあくまでも非日常を楽しむために人が集まるのです。
人々が日々を暮らす街には、実はドラえもんに登場する「近所の空き地」のような、何もないのに人が集まる場所こそが必要です。そこは、管理された公園や、遊び方が計算されたテーマパークとは違い、自由でいろいろな可能性を持つ空間です。だから人が自然に集まり、何かが始まるのです。
現在、地価や維持管理などの難しい問題もありますが、空き地的な役割をもつ公共空間をまちに取り入れて、人を惹き付ける街にしていくことが課題となるでしょう。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

工学院大学 建築学部 まちづくり学科 教授 遠藤 新 先生

工学院大学 建築学部 まちづくり学科 教授 遠藤 新 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

都市デザイン学、まちづくり学

メッセージ

私は都市デザインを研究しています。都市デザインとは、都市がどうあるべきかを考え、空間や生活の場を通して実現していく学問です。
「人間が魅力的だと思う」「自然と共生できるような」あるいは「安全で安心して暮らせる」空間や場所というものを都市、まちといったレベルで考えていきたいと思っています。工学院大学では実際にいろいろなまちを歩き、そこに住む人たちと触れながら都市デザインを計画する授業もあります。都市デザインを学び、一緒にまちづくりにチャレンジしましょう。

工学院大学に関心を持ったあなたは

工学院大学は、2017年に創立130周年を迎えた、伝統のある大学です。2019年4月から、専門性を高めた知識を得られるように、先進工学部の「応用物理学科」と「機械理工学科」では各学科を2専攻に分け、きめ細かな学修ができる体制に変わりました。
応用物理学科には応用物理の分野を究める「応用物理学専攻」と宇宙関連分野を学ぶ「宇宙理工学専攻」を、また機械理工学科には従来の機械の知識を学びながらグローバルな視点を養う「機械理工学専攻」とパイロットライセンスの取得をめざす「航空理工学専攻」を設置しました。