カフェ型図書館もあり!? 建築学からみる図書館
建物の役割を考える
建築学とは、単に建物を建てるだけの学問ではありません。「この建物をこの地域に建てることで、どのように機能するか」という研究も、重要なテーマです。
「地域に役立つ図書館とは、どんな姿が望ましいのか」、その答えは1つではなく、地域によって変わります。例えば、都心部の図書館と地方の図書館を比べてみましょう。利用圏域は都心部が半径2kmほどなのに比べ、地方では8kmに広がります。そのため、都心部では8割の人が徒歩や自転車で来館します。それに対して地方では、ほとんどの人が自動車で来館します。駐車場の大きさなど、両者にはさまざまな違いが出てきます。
特色のある図書館が増えている
図書館の役割にも変化の兆しがあります。今までは「静かに本を読んだり、学習したりする場所」でしたが、「アクティブ・ラーニング」(議論しながら学ぶ)のための場を提供している図書館が増えています。また、図書館内に中高生の居場所を作ったり、カフェを併設する図書館も登場しました。
図書館の利用率は、人口の約30%とされています。残り70%の人に図書館を利用してもらうためには、「学習型」や「サロン型」など、地域のマッチした特色のある図書館づくりが必要なのです。
実地調査がまちづくりに役立つ
こうした取り組みには、大学の建築学科の研究室やゼミによる実地調査が役立っています。実地調査では実際に図書館に足を運び、来館者の行動を定点観測したりアンケート調査したりしてデータを収集します。蓄積されたデータから、「どうしてこの場所には人が集まるのか」「なぜこの場所は騒がしいのか」といった、今まで漠然としかわからなかったことが、理論的な説明に導かれ、図書館の特色や利用しやすさの追究に役立ちます。
調査は図書館だけでなく、福祉施設や病院、学校などさまざまな施設に応用されます。実地調査が、使いやすい建築づくりはもちろん、住みやすいまちづくりに生かされていくのです。
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