市場での価値を最大化する経営戦略

市場での価値を最大化する経営戦略

優れた技術があっても、もうからない

「もうかっている企業」や「イノベーティブな企業」と聞くと、日本の企業よりもアメリカなど海外の企業が思い浮かぶかもしれません。例えば、身近なスマートフォン、SNSや巨大なプラットフォーム、電気自動車などがそうです。しかし、今の日本の企業も優れた技術、新しい技術の発明や開発といった点では、決して負けてはいません。日本の企業に問題があるとするなら、実はその先にあります。ライバル企業と競争しながら、開発した技術を製品やサービスに生かし、市場での評価を高めて、多くのお客さんに買ってもらうといった、「市場で価値化する」ことが得意ではない企業が多いのです。

自社の頑張り以外の要素

企業がもうかるためには、ライバル企業との競争に勝たなくてはなりません。しかし、自社で頑張り、競争に勝つことだけがもうかる要因ではありません。取引先や協業している企業に問題があることで、自社の製品やサービスの価値が半減してしまうことがあります。逆に、そうした企業の力によって自社の強みが増すこともあって、それはライバル企業の存在にも当てはまります。
例えば、タピオカミルクティーが流行すると、既にあるカフェチェーンにとっては競争相手が増えることになります。しかし、タピオカミルクティーに高いお金を出す人たちが、当たり前のようにカフェでもお金を使うようになれば、市場規模が拡大する可能性があります。

いかに中長期的に価値を高めるか

つまり、ライバル企業は必ずしも競争すべき相手であるとは限りません。時には他の企業の成果を活用するという発想も大切です。うまく協働することで、結果的に自社の製品やサービスから得られる価値を大きくできるからです。
このように、継続して価値を高めるために、中長期的な視点で企業や事業の将来像やそこに至るシナリオを描くのが戦略です。その際、ものごとを広く体系的に見ながら問題の本質を捉え、そこから柔軟に発想する。戦略論での学びはこうした考え方を身につけるのに有効な学問です。

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東京女子大学 現代教養学部 国際社会学科 経済学専攻 准教授 松嶋 一成 先生

東京女子大学 現代教養学部 国際社会学科 経済学専攻 准教授 松嶋 一成 先生

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経営学、経営戦略論

先生が目指すSDGs

メッセージ

市場や組織は、さまざまな意図や目的をもった人たちの営みによって成り立っています。その中で方程式を解くように唯一の正解を見つけることは難しいのですが、自分なりの正解をもち、より客観的な正解に近づくことは可能です。そのためには、経営学のみならず、経済学、社会学、心理学など、さまざまな視点からのアプローチが有効です。多角的に見ることによって、ものごとの本質がより良くわかることがあるからです。経営学を学びながら、ぜひそうした隣接する学問分野からも考えて、さまざまな背景をもつ人と議論してみましょう。

東京女子大学に関心を持ったあなたは

東京女子大学現代教養学部は、全学的に国際性、女性の視点、実践的学びを重視した教育を展開しています。100周年を迎えた2018年に「国際英語学科」「心理・コミュニケーション学科」を新設。また、国際社会学科に新たに「コミュニティ構想専攻」を設置しました。キリスト教精神に基づくリベラル・アーツ教育で自ら考え、知識や能力を行動へとつなげ、社会に出てからも学び続け、さまざまな問題を解決する力を身につけたリーディングウーマンを育成します。