病気を診断する最後の砦
病気を診断する「病理検査」
がんなどの病気を治療するためには、治療前にいろいろな検査をして病気を診断する必要があります。その中で「病理検査」は、病変の一部を採取し、がん細胞などの異常な細胞がいないかを顕微鏡で観察をして最終的に診断をする手法です。臨床検査技師は、採取してきた病変から病理検査のための標本を作製する役割を担っています。さらに、臨床検査技師の中でも細胞検査士の資格を取得すると、口の中などの粘膜、痰(たん)、尿中に剥がれ落ちた細胞にがん細胞などの異常な細胞がいないか、細胞レベルで診断を行う(細胞診)ことができます。
違和感が重要
検査では、採取した細胞をスライドガラスに薄く塗り、染色液で染めたものも顕微鏡を使って観察します。たくさんの細胞の中に異常な細胞が潜んでいないか細胞をひとつひとつ丁寧に見ながら探していきます。その際、異常な細胞を見つける手がかりは周囲の正常な細胞と比較した時の違和感です。違和感とは、丸や四角のような明確な違いではなく、細胞の形の微妙な歪さや色の濃淡などです。加えて、その細胞がどこから取れてきて、どんな病気によって変化が起きたのかを考えながら診断をする難しさがあります。
より良い診断のために
「病理検査」では、細胞などの形に加えて細胞が持っているタンパク質や遺伝子を調べることで治療方針が決まります。そのため、病理検査を正確に行うには、より良い状態の検体を使って、適切な標本を作製しなければなりません。1人1人に合った治療法の選択ができる今、それを決定するために必要な検査は増え続けています。現時点で確立していない検査が将来的に可能になる場合に備えて、検体の保管も重要な仕事の一つです。より良い検体を保つためには、適正な薬品やその濃度を選択する必要があり、その役割は臨床検査技師が担っています。
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