病気を診断する最後の砦

病気を診断する最後の砦

病気を診断する「病理検査」

がんなどの病気を治療するためには、治療前にいろいろな検査をして病気を診断する必要があります。その中で「病理検査」は、病変の一部を採取し、がん細胞などの異常な細胞がいないかを顕微鏡で観察をして最終的に診断をする手法です。臨床検査技師は、採取してきた病変から病理検査のための標本を作製する役割を担っています。さらに、臨床検査技師の中でも細胞検査士の資格を取得すると、口の中などの粘膜、痰(たん)、尿中に剥がれ落ちた細胞にがん細胞などの異常な細胞がいないか、細胞レベルで診断を行う(細胞診)ことができます。

違和感が重要

検査では、採取した細胞をスライドガラスに薄く塗り、染色液で染めたものも顕微鏡を使って観察します。たくさんの細胞の中に異常な細胞が潜んでいないか細胞をひとつひとつ丁寧に見ながら探していきます。その際、異常な細胞を見つける手がかりは周囲の正常な細胞と比較した時の違和感です。違和感とは、丸や四角のような明確な違いではなく、細胞の形の微妙な歪さや色の濃淡などです。加えて、その細胞がどこから取れてきて、どんな病気によって変化が起きたのかを考えながら診断をする難しさがあります。

より良い診断のために

「病理検査」では、細胞などの形に加えて細胞が持っているタンパク質や遺伝子を調べることで治療方針が決まります。そのため、病理検査を正確に行うには、より良い状態の検体を使って、適切な標本を作製しなければなりません。1人1人に合った治療法の選択ができる今、それを決定するために必要な検査は増え続けています。現時点で確立していない検査が将来的に可能になる場合に備えて、検体の保管も重要な仕事の一つです。より良い検体を保つためには、適正な薬品やその濃度を選択する必要があり、その役割は臨床検査技師が担っています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

久留米大学 医学部 医療検査学科 ※2024年4月開設 助教 福満 千容 先生

久留米大学 医学部 医療検査学科 ※2024年4月開設 助教 福満 千容 先生

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医療検査学、医学

メッセージ

医療に従事する仕事で思い浮かぶのは、まず医師と看護師と薬剤師でしょうか。臨床検査技師や細胞検査士という職種は、馴染みが薄く、私も高校生までは知りませんでした。大学受験前に大学のチラシに載っていたカラフルに色づいた細胞を見て綺麗だと思ったことが細胞検査士を目指したきっかけです。患者さんとじかに接する機会は少ないですが、病気の治療のためには欠かせない職業の一つです。本学科では臨床検査技師になるための基礎的な知識を修得した後、3年次の応用選択コースでは細胞検査士の知識も得ることができます。

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93年の歴史と伝統を積み重ねた久留米大学には、文学部・人間健康学部・法学部・経済学部・商学部・医学部の6学部13学科、大学院4研究科そして20の研究所・センターなどがあります。「個性尊重、資格取得、地域貢献、国際感覚の育成、高度情報化への対応」を重視し、多くの優秀な教授陣が学生一人ひとりの能力を伸ばしながら、社会への適応力を育み、ゼミナールを中心とした授業で、教員と学生の触れ合いを大切にしています。文系・医系の両キャンパスに新たに教育・研究棟が完成し教育環境もさらに充実しました。