日本のポップカルチャーが世界にファンを増やしたワケ
世界にファンを持つ日本のポップカルチャー
日本のマンガやアニメ、ゲームは、緻密な表現や豊かなストーリー性で世界的に人気を博し、海外から日本のポップカルチャー(大衆文化)を目当てにやって来る人も少なくありません。どのようにして世界にファンが拡大したのでしょう。
グローバル化が後押し
日本アニメの輸出は、1960年代の『鉄腕アトム』から始まりました。政府の政策となった1990年頃からは『ドラえもん』『ドラゴンボール』『ポケットモンスター』など「日本臭さ」が隠された作品や商品(アニメなど)が好まれ、日本の社会を色濃く反映した作品(実写やドラマなど日本人自体が登場するもの)は受け入れられませんでした。しかし世界が日本のポップカルチャーに興味を持つにつれ、次第に日本らしさが濃い作品も受け入れられるようになりました。
その一因は、多様なグローバル化とその継続・加速化です。人や物・技術の交流・交錯・移動が盛んになり、生活様式や料理など異文化への垣根が低くなったことが、日本らしさへの理解を促すきっかけになりました。そのおかげで、商品のみでなく日本人自身が消費対象となるAKB48などのアイドルやビジュアルロック系の音楽、かわいい原宿ファッション、萌え系の秋葉原のメイドカフェといった日本社会を映した大衆文化も、海外で受け入れられるようになったと考えられます。
今後日本は何を発信するのか
ところで「日本らしさ」とは何でしょうか。文化は常に変化しています。日本のアニメも、もとをたどればアメリカのディズニーから学び、独自に進化したものです。日本発のポップカルチャーも、世界でアレンジされ進化しています。グローバル化が進んだ今、文化の国境線は、あいまいになっているのです。そういう意味で、「日本から何を発信するのか」を改めて考える時期にきています。日本では歴史や社会的な背景に関係なく、何でも「かわいい化」させる傾向にありますが、表面的なかわいさにとどまることなく、日本文化の本質を考える時期にきていると言えるのです。
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先生情報 / 大学情報
立命館アジア太平洋大学 アジア太平洋学部 教授 吉田 香織 先生
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