時代の主役は、テレビからネットへ! メディアは社会をどう変える?
電車で化粧をする人は、携帯とともに出現?
メディアの持つ力は非常に大きく、技術が社会の中に取り込まれたとき、社会のあり方も変えていきます。例えば、ー昔前まで、電話はプライベート空間に存在するものでした。しかし携帯電話の普及で、個人的な行為を外に持ち出すことになり、プライベートとパブリックの境目が変わったのです。この変化に付随して、電車の中で化粧をする女性が出現しました。化粧というきわめて個人的な行為が外に持ち出されたのではないかと推測されます。このように、社会のあり方さえも変化させる力を持つのがメディアなのです。
映画や活字から、テレビ、インターネットの時代へ
メディアの変遷を振り返ると、1950年代までは活字や映画の時代でした。1964年の東京オリンピックに向け、一般家庭にもテレビが爆発的に普及し、テレビの時代がスタートしました。そして、1995年にはWindows95が発売され、同時期に高速インターネット回線の整備も国策として進められ、少しずつインターネットが姿を現します。そして現代は、一人に一台以上の携帯電話の普及が進み、FacebookやTwitter、LINEといったソーシャル・ネットワーキング・サービスが利用され、時代はインターネット全盛期を迎えています。
3・11でテレビの信頼が衰退、主役はネットへ
テレビというメディアが衰退したのは、東日本大震災のときでした。それまでテレビというメディアは、信頼できる存在として圧倒的な力を誇っていたのですが、「テレビは何かを隠しているのではないか」といった疑心暗鬼が人々の間に広がりました。同時にインターネット上では、本質的な情報がやりとりされ、人々は「真実を知ることのできるツール」として、ネットに向かったのです。この同じ年(2011年)には地上デジタル放送がスタートし、テレビを見ない人を多数生み出しました。3・11と地上デジタル放送開始という2つの要素が、テレビの衰退を決定的にしたのです。
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明治大学 情報コミュニケーション学部 教授 大黒 岳彦 先生
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