コミュニケーションは心の見える化
コミュニケーションは社会生活の鍵
目に見えず形のない心を相手にどのように伝え、また相手の心をどのようにして知ることができるでしょうか。言葉はもちろん、表情や視線、ジェスチャーなどさまざまな手がかりで心を伝え、知ろうとします。このコミュニケーションを繰り返すことで、対人関係がはじまり、深まり、維持され、ときに終わります。コミュニケーションや対人関係は、社会生活を送る上で切っても切り離せないテーマです。ときに悩みの種にもなりますが、同時に幸せの源泉でもあります。
とても大切で難しい、緊急時のコミュニケーション
とても大切なのに、時間をかけられないコミュニケーションがあります。急病や大怪我、災害などの際に消防機関にかける119番通報です。例えば、火事の通報では、自分自身や周囲の人の安全を確保しながら動揺を押さえ、場所や状況を迅速に伝える必要があります。ほとんどの人は人生で初めての通報です。その通報を受ける通信指令員も、正確な情報を得るため、顔の見えない中で、冷静に、迅速かつ的確に答えを引き出さねばなりません。
非常に重要かつ難しいやりとりですが、心理学にできることがあるかもしれません。例えば、本人が思っているより実際には相手に伝わっていないことを「透明性の錯覚」といいます。通信指令員が「心臓マッサージをお願いします」と伝え、通報者が「わかりました」と言っても、間違った方法で実行していることがあります。心理学の知見は、コミュニケーションの落とし穴に気づかせてくれます。
心を見える化する方法は一つじゃない
最近、全国的に導入されつつあるのが、現場の状況を映像で伝える「映像通報システム」です。まさに「百聞は一見に如かず」で、映像だと瞬時に正確に伝わります。映像をみれば、正しい診断や手当の指示ができます。このような新しいツールの活用法について心理学の研究も可能です。心の見える化の法則性や、それを踏まえたツールの活用法を研究することで、心理学が世の中に貢献できることはたくさんあるでしょう。
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先生情報 / 大学情報
神戸女学院大学 心理学部 心理学科(2024年4月開設) 教授 木村 昌紀 先生
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