その「推し」の元ネタは? 改めて「文化」の成立について考えてみる
「推し」のルーツにあるもの
「メディア論」は我々の身の回りの様々な「メディア」を文化、社会、思想などの視点から複合的に分析していく学問です。
例えば、推しの歌手やアイドル、大好きな漫画やゲーム、アニメについて語ったり、熱心に追いかけたりすることは、とても楽しいことですね。しかし、それらのコンテンツはある日突然私たちの目の前に現れたわけではありません。そのジャンルの中で長く積み重ねられてきた複雑な「歴史」の上に存在します。その歴史について改めて考えてみるというのも、メディア論の重要な役割のひとつです。
音楽と日本人の葛藤
ポピュラー音楽を例に考えてみましょう。例えば、ロックやジャズといった音楽は、第二次世界大戦後に日本を占領下においたアメリカやイギリスからもたらされた外来の文化です。戦後間もない頃の日本には、外国の魅力的な音楽を自由に享受できるという喜びと、占領者たちがもたらす文化をすんなりと受け入れて良いのだろうかという微妙な葛藤がありました。そういった目に見えない空気を、当時の音楽雑誌の誌面などからは読み取ることができます。
こういったことを、様々な文献や映像の分析、関係者へのインタビューなどを通じて読み解いていくのが、メディア論、メディア研究の醍醐味なのです。
元ネタを掘り下げる
メディアと文化、社会、そして人との関わりを思想的に考えるメディア論の方法論を用いることで、出版や映像、音楽、インターネットなど、様々な文化について考えることが可能になります。幅広い文化領域を研究対象にできることがメディア論の特徴であり魅力ですが、歴史に対する貪欲な興味をもって対象を深く掘り下げていくことで、より新しい発見が得られるのです。
普段何気なく接していた様々な文化事象を、そうした新たな発見と結びつけて考えることで、私たちを取り巻く世界がどのようにつくられているのか見えてくるでしょう。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
群馬県立女子大学 文学部 文化情報学科 教授 山崎 隆広 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
メディア論先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?