講義No.06687 医療技術

血液の検査で病気が防げる!

血液の検査で病気が防げる!

血液は情報の宝庫

今日、病気の診断や早期発見の強力なツールとして臨床検査は欠かせません。その1つに血液検査があります。全身を巡り細胞に触れてくる血液を調べれば、細胞に異常があるかの情報が簡単に得られるのです。欠点もいくつかあり、その1つは全身の細胞情報を持ってくるため「情報の出どころ」を見つけるのが難しいことです。そのため複数の検査項目を組み合わせて判断する必要があり、数は多く2,000項目を超えます。2つ目は、これまで「病態把握」と「早期発見」に多大な貢献してきたものの、将来の病気予測までは難しいことです。

血液中のDNA・RNAが異常を知らせる

そこで注目されているのが血液中に存在する遺伝子(DNA、RNA)です。私たちのからだはDNAにある遺伝子配列を読み取り、そのコピーであるメッセンジャーRNA(mRNA)という物質を介して必要なタンパク質をつくり出し生命活動を行っています。近年、「エピジェネティクス」と呼ばれる、「後天的に遺伝子発現が制御される現象」がさまざまな病気の発症に関係することがわかってきました。例えば、ある食習慣がエピジェネティックな変化である「DNAのメチル化」や「マイクロRNAの変化」をもたらし、将来に疾患発症のリスクを高める、というものです。この筋書きが正しければ、その遺伝子の変化をとらえることができれば病気の発症リスクが事前にわかることになります。それも血液検査だけでわかったら素晴らしいことです。

臨床検査技師の活躍に期待

こうした検査を行うのが臨床検査技師です。血液だけでなく尿や微生物など幅広い生体成分の分析のほか、心電図や超音波検査なども行っています。今後の医療は病態の把握や早期発見に加えて、事前に病気を予防する「予防医学」を視野に入れた臨床検査が中心になると考えられており、特に血液の分野では手軽に得ることができる便利さから期待が高まっています。このように生命科学の知恵を駆使し人に役立てるのが臨床検査なのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

藤田医科大学 医療科学部 医療検査学科 教授 大橋 鉱二 先生

藤田医科大学 医療科学部 医療検査学科 教授 大橋 鉱二 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

臨床検査学、代謝栄養学、生化学

先生が目指すSDGs

メッセージ

病気の早期発見が大切なのは、誰もが認知していることでしょう。今後はいかに発症を予防し、健康なまま寿命をまっとうできるかが問われる時代になってきます。その時に欠かせないのが臨床検査技師の存在です。
もともと日本の臨床検査の分析精度のレベルは国際的にも高く、近年では検査データを臨床でどう活用してもらうかといった課題に対し、臨床検査技師が積極的な活動を開始しています。今後、ますます注目を集める臨床検査技師をめざして、あなたも藤田保健衛生大学で一緒に学んでみませんか。

先生への質問

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藤田医科大学に関心を持ったあなたは

本学では、医学部と医療科学部(医療検査学科・放射線学科)、保健衛生学部(看護学科・リハビリテーション学科)および大学院、研究室が1つのキャンパスに設置されています。日本屈指の病床数を誇り、最先端医療を担う大学病院を併設しており、恵まれた環境のなかで勉学に打ち込むことができます。また、チーム医療に必要なコミュニケーション能力の早期習得が可能で、すべての学部学科交流によるアセンブリ教育を必修プログラムとし、専門職連携をおこなう能力を段階的に身につけます。