動脈や肝臓を超音波で調べれば、もっと長生きできる!
赤ちゃんにも安全な超音波検査
あなたは胎児の画像を見たことがありますか。お母さんのお腹にいる胎児の表情までをリアルに画像で見ることができるのが「超音波検査(エコー検査)」です。人間の耳には聞こえない高周波の音波をあてて、そのはね返ってきた音波をとらえて画像化する技術ですから、赤ちゃんにも安全だと考えられています。この超音波検査を使って、生活習慣病と関わりの深い動脈硬化を調べる研究が進んでいます。
頸動脈を調べれば、動脈硬化がわかる
動脈硬化は、血管が硬くなったり、血管の壁が厚くなったりする病気です。進行すると血管が詰まったり、血のかたまりが飛んで、心筋梗塞や脳血管障がいを引き起こしたりします。これらの病気は、日本人の死亡原因の上位を占めていて、早めに発見することが大切です。
そこで動脈硬化の進行を調べるために、首筋の頸(けい)動脈を超音波で検査することが大切です。超音波は体表面に近いものほど細かく見ることができるので、体表面に近い頸動脈なら、より詳しい画像が得られ、血管の壁などの様子がよくわかるのです。また、超音波は軟らかいところよりも、硬いところの方が速く伝わるので、その原理を使って血管の硬さがわかる技術も、近年、開発されました。
脂肪肝を見つけるのも超音波検査
動脈硬化だけでなく、脂肪肝を調べるときにも超音波検査が行われています。
動脈硬化は、血液中に脂質(脂肪)が増える「脂質異常」から進行すると考えられますが、肝臓に脂肪がつく脂肪肝も、脂質異常に関係しています。脂肪肝の多くはメタボリックシンドロームを合併し、さらに糖尿病とも深くかかわっています。
頸動脈の病気と肝臓の病気、直接関係がないように思うかもしれませんが、病気の原因を考えていくときには、いろいろ要因が複雑に関係します。そのために、超音波検査のような画像を用いた検査だけでなく、血液検査の結果やいろいろな検査結果を合わせて、総合的に考えていく必要があるのです。
参考資料
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藤田医科大学 医療科学部 医療検査学科 教授 市野 直浩 先生
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