集中豪雨は都市域で起きやすい!?

都市を襲う集中豪雨
ニュースなどで都市域が強い雷雨に見舞われた様子を見たことはありませんか? 集中豪雨がなぜ都市域で多く発生するのかについては、気候学・気象学や地理学の分野でさまざまな研究が行われています。ちなみに、報道などでよく使われる「ゲリラ豪雨」という言葉は、都市の集中豪雨を科学的にとらえられないかのように誤解を与える表現なので、学問的にはあまり使いません。
集中豪雨の主な原因
都市の集中豪雨の原因として今のところ有力なのは以下の3つです。
1つめはヒートアイランド現象によるという説です。都市域の気温が周囲に比べて高くなるヒートアイランド現象で大気が不安定になり、上昇気流が発生しやすくなって、雷雲の発生につながることが考えられます。
2つめは、都市にある建築物の影響が挙げられます。都市には建築物が密集しているため、海などから吹いてくる風がぶつかって弱まり、上昇気流が発生して雲ができ、雨を降らせるという考え方です。
3つめは大気汚染で、都市域の大気に広がる汚染物質が、水蒸気が凝結するときの核となり、雨雲ができやすくなるという説です。
気候・気象のデータ分析には地理的発想が大事
豪雨の謎を解くには、一箇所で観察しているだけではわからないことが多く、多数の観測データを分析することで、初めて都市域で強い雨が多いという事実が浮かび上がります。
狭い範囲に発生する雷雨については、気象庁のアメダスだけでは詳しい特徴がよくわからないため、自治体などの協力により、細かいデータを得て分布を地図に描き込んでいき、できた地図を気温や風、地形や建築物の高さなどを示す別の地図と重ねることで、さまざまな分析が可能になるのです。
地図は気候・気象の分析に大きな役割を果たします。地理学は人間と自然のかかわりを探求する学問であり、現象の空間分布を明らかにする学問でもあります。地理は社会科で文系の学問、気候学や気象学は理科系の学問と考えるかもしれませんが、気候・気象の研究において地理的な発想や視点が大事なのです。
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東京都立大学都市環境学部 地理環境学科 教授高橋 日出男 先生
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