日本語教師の立場から考える留学生政策
外国語としての日本語
外国人から日本語の意味やニュアンスを質問されて、困ってしまった経験はありませんか? 例えば、「『さすがに』って、何ですか? いつ使いますか?」と、日本に留学に来ている外国人から質問を受けたら、あなたはどう答えるでしょうか。
留学生に対して日本語を教える日本語教師は、外国語として日本語を勉強する留学生からのさまざまな質問を受けています。母語話者では疑問に思わなかったことも、日本語学習者にとってはなかなか飲み込めないものです。日本語教育学では、日本語の教え方、学習方法などが研究され、日本語教師に必要な専門知識を学びます。
日本語学習者と日本留学
しかし、日本語教育学の研究の裾野は広く、教室の中だけがフィールドではありません。例えば、教育機関における留学生の存在そのものも研究の対象です。コロナ前、留学生がたくさん失踪して社会を騒がせた学校がいくつかありました。少子化が進む中、日本人の若者が減った分を留学生で満たそうと考える学校もあります。一方で、学習者側も日本留学の目的はまちまちです。留学という制度がしっかりと機能して、その生活を下支えする役割を日本語教育が果たすことが求められています。
留学生政策から考えたい「国際学」
政府は、今後受け入れる留学生の数をコロナ前に回復させるだけでなく、さらに大勢招き入れようという目標を立てました。では、留学生が来てくれると、日本にはどんなメリットがあるのでしょうか。大学の国際化が進む? 地域の経済が潤う? 日本の労働力が豊かになる?
とはいえ、留学生を増やす政策を考えていく大前提として、留学生自身の幸福という視点はないがしろにできません。留学生の受け入れを国策というマクロレベルと、教育機関というミクロレベルとの双方から考えていく必要があります。さらには地域ぐるみの受け入れ施策、いわばミドルレベルでの取り組みも視野に置くべきでしょう。
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先生情報 / 大学情報
大阪産業大学 国際学部 国際学科 准教授 春口 淳一 先生
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日本語教育学先生への質問
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