「38億年前の謎」を、実験室で探究する!

「38億年前の謎」を、実験室で探究する!

地球最初の「生命」は、どこから生まれた?

地球上に、細菌などの最も単純な「生きもの」が誕生したのは、38億年より前と考えられています。そこから生命は進化と絶滅という壮大な実験を繰り返しながら、数百万年前に人類の祖先が出現しました。そもそも無生物の世界から、地球の生命はどうやって生まれたのでしょうか。生命の起源については古くからさまざまな説が唱えられています。近年では「RNAは「複製」と「代謝」の両方を制御し、最初の生命体を構成するのに大きな役割をはたしたであろう」という仮説や、「生命は熱水中で生まれた」とする仮説が注目されています。

「原始地球の海」を、実験室に再現

2つの仮説はいずれも科学的な根拠がありますが、矛盾点もあります。
原始地球の海底には超高温の熱水の噴き出し口があり、そのようなところで生命は生まれたと考えられています。「しかしそのような高温下では、RNAもそのほかの有機化合物も長時間存在するのは難しそうです。そうならば、どのように生命はうまれたのか」というのが、主な疑問点でした。そこで、「熱水マイクロフローリアクター」という実験装置を開発し、原始地球の海底と似た環境を作り出す実験をスタートさせたのです。

「想像」ではわからなかった新事実

この新しい実験装置を使って、実際にRNAやタンパク質のもとになるアミノ酸がどのような反応を起こすか実験を繰り返したところ、さまざまな事実がわかってきました。
海底熱水噴出口(200~400度)は、ペプチドのような高分子化合物が生成するのに、むしろ適した環境の一つであり、しかもその際には天然の鉱物が大事な役割をはたしたことが明らかになりました。またRNAも、このような熱水中でも条件が整えば溜まっていったことが推測されました。RNAは最初の生命体を構成するのに大きな役割をはたしたとする仮説は、生命が熱水中で生まれたとする仮説と矛盾するものではないということが、これらの実験を通して明らかになってきました。

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先生情報 / 大学情報

広島修道大学 人間環境学部 人間環境学科 教授 川村 邦男 先生

広島修道大学 人間環境学部 人間環境学科 教授 川村 邦男 先生

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化学、物理学、地球科学、分子生物学

メッセージ

私は「生命の起源」というテーマについて研究していますが、高校時代には物理や化学、数学などをしっかり勉強しました。「生命の研究なら、『生物』の勉強だけ頑張ればいいのでは」と思うかもしれませんが、物理・化学・数学は理数系科目の基礎です。
基礎をきちんとマスターしておけば、それ以外の分野でも学問の幅が広がります。もしも物理・化学・数学が得意なのであれば、その力を専門以外の分野で発揮するのもいいでしょう。そうすることで、これまで世の中にはなかったような、新しい「何か」を生み出せるかもしれません。

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