明治時代の史料から、現在の日本語の特徴が見えてくる!
意外と身近にある明治時代の文献
明治時代の雑誌を見たことがありますか? 当時の人たちが書いた葉書はどうですか? 150年も前の文書ですが、実は意外と簡単に目にすることができます。学校や大きな図書館の蔵書はもちろん、あなたの家の物置の片隅にも眠っているかもしれません。インターネットオークションにも雑誌や手紙、裁判記録や当時の学生のノートまで、たくさんの文書が出品されています。
明治時代の日本語はどう表記されていたのか?
明治時代の日本語を見ると、現在の日本語とはさまざまな違いがあります。
例えば雑誌の表記はひらがなとカタカナが混じっていますが、現代の日本語のように外来語やオノマトペなどがカタカナで、ほかはひらがなというような規則はなく、同じページ内にある同じ言葉なのに、カタカナとひらがな両方が使われていることもあります。送り仮名でも異なる表記が混在しています。皆さんの現代の感覚からすると違和感を覚えるのではないでしょうか。でも当時はそれが普通だったのです。逆に考えると、現代の表記は「統一」という点で厳密であることがわかります。
また、句読点の使い方や濁点を使うかどうかも現代とは異なります。葉書の文章の書き方も現在とは異なり、大事なことを真ん中に大きな文字で書き、付随的な情報はその脇に小さく書いてあります。右から左に読むのではなく、大きな文字から読んでいくのが当時のルールだったのです。
150年間の日本語の変化の意味
日本語の変化という視点からは、明治時代から現在に至る時代ごとに固まりとして見ることには非常に意味があります。明治という時代は廃藩置県が行われ、学制が敷かれるなど、日本が統一され社会が変化していく時期でしたがそれは、国単位で統一された日本語ができあがっていく過程でもありました。そしてその日本語は、変化しながらも現在にまで続いています。過去の日本語を知るということは、現在の日本語を違う形で知ることにもなるのです。
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先生情報 / 大学情報
清泉女子大学 総合文化学部 ※2025年4月開設 総合文化学科(日本文化領域) 教授 今野 真二 先生
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