海産物は宝の山?
魚の食べられない部分を利用
漁業は日本の大切な産業のひとつです。最近は、魚の消費量が減った、と言われていますが、日本人が魚を嫌いになったわけではありません。皮や骨、ウロコなど、魚の調理に手間がかかるのが原因のようです。そのような事情から、魚は食べられない部分を除いて販売されることが多くなりました。また、海外では寿司ブームが起こり、背びれや頭、骨を取り除いたごく小さなアジが輸出されています。しかし、食べられない部分、つまり不可食部はどうなるのでしょうか? 例えば、魚のウロコや背びれ。ここには美容によいと言われるコラーゲンが含まれています。また、コンドロイチン硫酸という、関節炎などに効く成分は、イカの頭や皮などから、取り出すことができます。このように、今までなら捨てられてしまっていた不可食部を利用する動きが、最近は高まってきています。
地域を活性化できる
今まで、海産物の不可食部分の処分については、さまざまな問題がありました。肥料としても売り出しても、安くしか買ってもらえないため、ビジネスにならないし、焼却したり、引き取ってもらったりすると費用がかかります。海に捨てると、海洋投棄ということで環境に影響がある一方、生臭いので、放置もできません。ところが、この中に有効成分が入っているとなれば、これが価値を持つ宝の山となります。細菌やウィルスの脅威にさらされやすい陸の動物と違って、海洋生物は、安全性も高いものです。その資源を利用した新しい製品が開発され、臨海の漁村に製造工場ができると、新しい産業として発展していく可能性が生まれ、顧用の促進にもなります。特に老齢化が進み、労働人口が減っている地域を活気づけるのは国からの補助金などではありません。継続的に経済活動ができる、地元に根づいた産業です。そのために地域特性のある材料を使った商品が必要とされています。
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先生情報 / 大学情報
鳥取大学 農学部 生命環境農学科 農芸化学コース 教授 田村 純一 先生
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