企業や工場はどうやって生産性をアップさせているのか?
商品の価格はどうやって決められるの?
製造者が商品の販売価格を決定できることはまれです。作ってから製造原価に利益を上乗せする方法で価格を決定していては、市場競争に勝てなくなったからです。売れる商品ほど競合相手は多くなります。またどんどん新製品が発売されますから、対抗するためには価格を下げざるをえません。しかし利益はなるべく残したいですし、人件費や材料費も簡単には削れません。したがって生産性を上げることでコストを下げるという方法が採られるのです。
生産性をアップするには?
生産性の指標の一つに生産数量/(人数×時間)があります。生産数量は注文量以上にはできません。したがって、生産性を高めるために、自動化により人数を減らすか、ムダな時間(動作)を減らすための見直しが行われます。生産システムの見直しでは、まず作業風景をビデオ撮影し、無駄な動きを探すことから始まります。大手自動車会社ともなると再生速度を100分の1に落とし、数センチ単位の動きまで吟味します。逆に生産性の低い工場のよくあるパターンとしては、モデルチェンジや機種の増加に生産ラインを対応させていないことがあります。複数の製品の材料が混在した生産ラインを無理に使い続け、作業待ちを生んでしまっているのです。あるいは流れ作業だったものを各自が完結する形に変えることで生産性が上がることもあります。
国内工場の現状は?
工場内には組み立てだけでなく、部品を探す、運ぶといった作業もあります。そうした作業は付加価値を生み出さないため、無人搬送車やベルトコンベアを使い、作業者のそばへ運ぶ「手元化」を進めています。先進工場では、既にそれも一段落し、2010年代に入ってからは顧客のニーズに製品が応えていることを保証するために、製造過程のさまざまなデータの自動取得をめざした「品質保証の自動化」が進められています。一方、作業の手元化すらまだ十分ではない工場も多くあります。先進工場と手元化に取り組み中の工場が混在しているのが日本の現状です。
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先生情報 / 大学情報
東京都立大学 システムデザイン学部 電子情報システム工学科 教授 梶原 康博 先生
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