日本製デニム・ジーンズも-地場産業を成り立たせる取り組み-
2万円のジーンズ、買う?
あなたが普段着ている衣服は、海外だけでなく、日本各地でも作られています。しかし価格が比較的高いため、多くの消費者は安い海外製品を選びがちです。例えば国内でジーンズを作ると、一本当たり2万円ほどになります。
福山市の地場産業
広島県福山市では、デニム・ジーンズ産業が盛んです。福山市はもともと埋め立て地で稲作が難しいため、代わりに綿花が作られてきました。そのため繊維産業が活発になり、国内外の大手ブランドにも生地を提供するほど高く評価されるようになりました。
福山市のデニム・ジーンズ産業のように、ある地域で地元の中小企業が中心となり、特定の製品が盛んに製造される産業のことを「地場産業」と呼びます。しかし長年続く地場産業も、時代の変化に対応できなければ存続が危うくなります。対応が求められている課題のひとつが、労働力不足や後継者不足です。外国人の技能実習生に頼らなければ産業が成り立たない地域も見受けられます。しかし地元の若者は生産現場に関心を持つ人が少ないため、地場産業と若者との接点を作ろうと、さまざまな取り組みが行われています。
労働力不足解消のために
福山市では、特にジーンズを縫い合わせる現場で人が足りていないため、地元企業が共同で縫製技術の基礎を伝えるスクールを始めました。服飾に関心のある人の間で注目が集まり、大学生などの若い受講生もみられます。こうして生まれた地場産業との接点を実際に企業への就職につなげることが、次の課題となっています。
もうひとつ地場産業を存続させるための対処法として注目されているのが産業観光です。地場産業を観光資源としてアピールして全国からの関心を集めます。生産現場を見た観光客の中には、「この地域の製品には値段に見合った価値がある」と思う人も出てくるでしょう。全国各地で行われている産業観光の取り組みや、その効果を分析しようと研究が行われています。
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